情報資源センター・ブログ

情報の扉の、そのまた向こう

公益財団法人渋沢栄一記念財団情報資源センターがお送りするブログです。
渋沢栄一、社史を始めとする実業史、アーカイブズや図書館に関連する情報をご紹介しています。

 1930(昭和5)年5月30日 (90歳) グラント将軍記念碑除幕式 【『渋沢栄一伝記資料』第38巻掲載】

是日、上野公園内グラント将軍記念植樹の傍に於て、本碑の除幕式を挙行す。栄一出席して式辞を述ぶ。後、上野精養軒に茶会を催し、席上、又懐旧談をなす。

出典:『渋沢栄一伝記資料』 3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代 明治四十二年−昭和六年 / 1部 社会公共事業 / 3章 国際親善 / 4節 国際記念事業 / 4款 グラント将軍植樹記念碑建設 【第38巻 p.450-477】
・『渋沢栄一伝記資料』第38巻目次詳細
http://www.shibusawa.or.jp/SH/denki/38.html
第18代アメリカ大統領ユリシーズ・シンプソン・グラント(グラント将軍)(Ulysses Simpson Grant、1822-1885)は大統領の任期を終えた後に世界漫遊の旅に出て、1879(明治12)年日本にも立ち寄り、渋沢栄一を始めとする東京市民有志から手厚い歓迎を受けました(『渋沢栄一伝記資料』第25巻p.507-538)。
その記念にグラント将軍夫妻が植樹したローソン・ヒノキとタイサンボクを由来とともに後世に伝えるための記念碑の設置が1928(昭和3)年に計画され、1930(昭和5)年完成、この日除幕式が行われました。
碑文にはグラント将軍歓迎の様子とともに、「此に所謂民間外交の端を啓きたり」と民間外交の始まりを記念する一文が刻まれています(『伝記資料』第38巻p.452-453)。
『伝記資料』第25巻p.256には、記念碑建設における栄一の心情を示す談話が次のように記録されています。」

[前略] 其の時上野でグラント将軍が自ら植ゑられた記念樹があるので此の樹を永く保存し、当時の歴史を明かにする為の建碑を計画し、先日中から私の処へ相談に来て居る人があるが、私もタウンセンド・ハリスの記念碑を建設したと同じ意味に於て、我が外国関係の歴史を明瞭にする上に必要なことであらうと考へて居る。誠に斯様な事項が詳しく後世に伝はらないのは文明国として最も恥づべきであるから、私も此の建碑の成就することを希望して居る。殊に当時グラント将軍を歓迎した当事者の一人であつた私は、進んで其主唱者となり、適当な方法で此の事柄が湮滅しないやうにしたい、と尽力して居る次第である。

渋沢栄一記念財団では、日米友好親善に情熱を注いでいた渋沢栄一の遺志を受け継ぎ、1946(昭和21)年より東京都と共催で「グラント将軍訪日記念献花式」を執り行っています。
グラント将軍記念碑
グラント将軍記念碑
参考:グラント将軍訪日記念献花式が開催されました
台東区ホームページ - 2007年5月30日〕
http://www.city.taito.tokyo.jp/index/000013/042641.html
グラント将軍植樹碑
上野恩賜公園公式ホームページ〕
http://www.kensetsu.metro.tokyo.jp/toubuk/ueno/midokoro.html#gurantojeme