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公益財団法人渋沢栄一記念財団情報資源センターがお送りするブログです。
渋沢栄一、社史を始めとする実業史、アーカイブズや図書館に関連する情報をご紹介しています。

 1917(大正6)年6月18日 (77歳) 労働問題に関する談話 【『渋沢栄一伝記資料』第31巻掲載】

是より先明治四十五年、栄一、その著書「青淵百話」中に「当来の労働問題」と題して労働問題に対する意見を発表、更に是日、竜門社評議員会談話会に於て、労資協調問題に就ての談話をなす。爾来屡々之に就ての意見を諸会合の席上又は雑誌・新聞紙等に発表す。

出典:『渋沢栄一伝記資料』 3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代 明治四十二年−昭和六年 / 1部 社会公共事業 / 2章 労資協調及ビ融和事業 / 1節 労資協調 / 4款 労働問題ニ対スル栄一ノ意見 【第31巻 p.605-662】
・『渋沢栄一伝記資料』第31巻目次詳細
http://www.shibusawa.or.jp/SH/denki/31.html
渋沢栄一伝記資料』第31巻には、渋沢栄一が1912(明治45)年から1926(大正15)年にかけて労働問題について語った記録が、『青淵百話』、『竜門雑誌』をはじめとする雑誌記事、および栄一の日記などによって紹介されています。

竜門雑誌 第四〇三号・第二三−二六頁 大正一〇年一二月
   ○ 誤れる進歩向上 (青渊先生)
 本篇は雑誌「日本魂」八月号に青渊先生の談話として掲載せるものなり。(編者識)
[中略] 労働と資本とは決して対立するものではない。然るに一部の学者間には、之を一種の相対立する階級として論ずるものが少なくない。甚しきは争闘によつて互に相接近し、共に其の権利を主張し、相対抗して最後の解決を得る外に策はないとまで断案するものが多いやうである。併しそれは、私どものやうな労資協調を主張する側から言へば同意し難いことである。両者は常に一致してこそ利益が生ずるので、一方のみの利益を貪つて、他方を圧迫するやうでは、その極一方が困憊するは当然な理路である。併しさうしたことが不問に附せられたならば、結局両者共倒れになつて、何等得るところはないであらう。 [後略]
(『渋沢栄一伝記資料』第31巻p.657)