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公益財団法人渋沢栄一記念財団情報資源センターがお送りするブログです。
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 1920(大正9)年7月22日 (80歳) ベンジャミン・ストロングの来訪 【『渋沢栄一伝記資料』第39巻掲載】

是日、アメリカ合衆国ニュー・ヨーク聯邦準備銀行総裁ベンジャミン・ストロング、渋沢事務所に来訪し、栄一と懇談す。次いで二十八日、栄一、東京駅内ステーション・ホテルに答礼訪問をなす。

出典:『渋沢栄一伝記資料』 3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代 明治四十二年−昭和六年 / 1部 社会公共事業 / 3章 国際親善 / 5節 外賓接待 / 15款 其他ノ外国人接待 【第39巻 p.198-200】
・『渋沢栄一伝記資料』第39巻目次詳細
http://www.shibusawa.or.jp/SH/denki/39.html
ベンジャミン・ストロング(ニューヨーク連邦準備銀行初代総裁)のこの日の訪問は、渋沢栄一が1915(大正4)年に渡米した際、ストロングに投げかけた二つの質問に回答するためでした。
その質問と回答は、以下のようなものでした(『渋沢栄一伝記資料』第39巻p.198より)。

  • 第一の質問 : 米国内に中央銀行を置かないで、この膨脹しつつある金融界をどのように操縦し得るか。
    回答 : 合衆国内の十二の準備銀行が代表者会を開き、詳細な協定のもとに統一を計っているので、今日まで何ら支障は見ていない。
  • 第二の質問 : 準備銀行は政党の具に利用される恐れはないか。
    回答 : 今日に至るまでその誘惑にかかることなく経過してきたことは、米国国民が準備銀行の勢力を承認している故である。国会もまた準備銀行の提案に重きを置いており、準備銀行は政党を超越した権威ある独立機関の姿を呈しつつある。

ストロングの訪問から5日後の7月27日、栄一は5年前の質問を忘れずに回答に訪れたストロングのことを第一銀行株主総会席上演説で「五年を過ぎた今日特に参つて今の二点を丁寧に説明して呉れたといふことは甚だ志深い銀行者だと思ひます」と紹介しています(『渋沢栄一伝記資料』第50巻p.184-188)。
参考:Benjamin Strong, the Federal Reserve, and the limits to interwar American nationalism
〔IDEAS at the Department of Economics, College of Liberal Arts and Sciences, University of Connecticut〕
http://ideas.repec.org/a/fip/fedreq/y2000isprp61-98.html
FRB(連邦準備<制度>理事会)とは何ですか?
〔教えて!にちぎん - 日本銀行
http://www.boj.or.jp/oshiete/intl/07201003.htm