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 1922(大正11)年11月25日 (82歳) [藤田]東湖先生記念会 【『渋沢栄一伝記資料』第49巻掲載】

是より先栄一、当会の会長に推さる。是日、東京会館に於て、東湖先生記念講演会及び遺墨展覧会開催せられ、栄一出席して開会の辞を述べ、写本「常陸帯」その他を出品す。

出典:『渋沢栄一伝記資料』 3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代 明治四十二年−昭和六年 / 1部 社会公共事業 / 9章 其他ノ公共事業 / 1節 記念事業 / 14款 其他 / 5 東湖先生記念会 【第49巻 p.155-168】
・『渋沢栄一伝記資料』第49巻目次詳細
http://www.shibusawa.or.jp/SH/denki/49.html
藤田東湖(ふじた・とうこ、1806-1855。江戸後期の武士。儒者常陸水戸藩士)の没後70年を記念し、1922(大正11)年11月25日に東湖先生記念会が開催されました。
記念会の会長を務めた渋沢栄一は、開催の辞の中で「私は藤田東湖先生と何等直接の縁故は持つて居らぬのでありますけれども」と前置きをし、水戸学を尊崇するようになったきっかけ、藤田東湖の著作(『常陸帯』、『回天詩史』)を「愛読」していたこと、また一橋家仕官時代に東湖の「高弟」で「姻戚」であった原市之進(はら・いちのしん、1830-1867。幕末の武士。徳川慶喜の目付役を務めた)から徳川昭武(とくがわ・あきたけ、1853-1910)の渡仏に随行するよう内談を受けた際のことなど、若き日の回想を延々と語っています(『渋沢栄一伝記資料』第49巻p.160-165)。
また、この記念会では「秘庫を開いて門外不出の珍品」が展示されました。『伝記資料』第49巻p.167-168には川崎巳之太郎編『東湖会講演集』(保生舎, 1924.10)p.58からの引用として、展示された主な品が以下のように紹介されています。

[前略] 当日東京会館に於ける記念会に展覧用の為秘庫を開いて門外不出の珍品を貸附せられしは
 ○水戸家 霊元天皇の源義公に賜はりし御宸翰、義公・烈公の画像
    其他十数点
 ○渋沢栄一子「常陸帯」筆写本及び水戸家の秘訓(公武相合はさる時は寧ろ弓を宗家たる徳川幕府に挽くも朝廷の為粉身すべき旨) 軸物
 ○高橋是清子 東湖先生遺墨
 ○金杉英五郎氏 烈公の戯画及び東湖先生の借金証文其他関係書類数十点
 ○井坂孝氏 東湖先生の親友立原杏所の画幅
 ○吉田氏 東湖先生遺墨「正気歌」の大幅物
 ○東京市水道局員某氏 烈公着用の肩衣
  外数氏にてありき。
○下略

参考:藤田東湖 (2011.11.25リンク先修正)
〔輝く茨城の先人たち〕
http://www.bunkajoho.pref.ibaraki.jp/senjin/index.php?Detail=true&no=129