是より先、アメリカ合衆国フロリダ州に颶風あり、災害甚し。是日栄一、松平駐米大使を通じて、当委員会を代表して、同国大統領カルヴィン・クーリッジ並に同州知事ジョン・マーティンに対して見舞の辞を伝達す。
出典:『渋沢栄一伝記資料』 3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代 明治四十二年−昭和六年 / 1部 社会公共事業 / 3章 国際親善 / 2節 米国加州日本移民排斥問題 / 3款 日米関係委員会 【第34巻 p.647-651】
1926(大正15)年9月、米国フロリダ州は台風“Great Miami”により甚大な被害を被りました。外務省からの被害状況を知らせる書簡に接した渋沢栄一は、在米特命全権大使松平恒雄(まつだいら・つねお、1877-1949)に宛て、大統領およびフロリダ州知事へ日米関係委員会として見舞いの辞を託し電報を送りました。『渋沢栄一伝記資料』第34巻p.647-651には当時の電報や書簡が転載され、海を跨いで日米間で以下のようなやり取りがあったことが読み取れます。
- 1926(大正15)年9月
在米日本人往復(一) (渋沢子爵家所蔵)
(栄一鉛筆)
十五年九月二十九日一覧
電報案
ワシントン市
松平大使閣下 日米関係委員会
常務委員 渋沢栄一
フロリダ州の大颶風害に関する大臣宛貴電の趣承知せり、日米関係委員一同は、我友邦民の此の図らざる大損害に対し深厚なる同情を有する事を、大統領閣下及罹災地の人々に御伝願ふ
(『渋沢栄一伝記資料』第34巻p.648掲載)
- 1926(大正15)年10月
- 1926(大正15)年11月
なお、『渋沢栄一伝記資料』第34巻p.48に掲載された渋沢栄一名の電報には「電報案」との注意書きがあります。残念ながら『渋沢栄一伝記資料』の記事からはこの文面が実際に送られた電報と同じであるか否かは確認できませんが、松平大使が東京の日米関係委員会からの電報による依頼を受けて、9月28日付けで大統領およびフロリダ州知事に見舞いの書簡を送付していることは10月7日の外務大臣宛松平書簡の文面からうかがい知ることができます。
参考:Great Miami Hurricane of 1926
〔National Weather Service Southern Region homepage〕
http://www.srh.noaa.gov/mfl/?n=miamihurricane1926