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公益財団法人渋沢栄一記念財団情報資源センターがお送りするブログです。
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 1920(大正9)年4月26日 (80歳) 渋沢栄一、日米有志協議会に座長として出席 【『渋沢栄一伝記資料』第35巻掲載】

是日より丸の内東京銀行倶楽部に於てアメリカ合衆国人フランク・エー・ヴァンダーリップ外十二名及び日本側協議委員による日米有志協議会開かる。栄一出席し、座長として当会議開催の由来を述べ、引続き毎回出席、カリフォルニア州日本移民問題其他に就き意見を述ぶ。五月一日相互に覚書を提出して会議を解く。

出典:『渋沢栄一伝記資料』 3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代 明治四十二年−昭和六年 / 1部 社会公共事業 / 3章 国際親善 / 2節 米国加州日本移民排斥問題 / 5款 日米有志協議会 【第35巻 p.359-449】

1920(大正9)年4月24日、ニューヨークの銀行家フランク・A・ヴァンダーリップ(Frank Arthur Vanderlip, 1864-1937)とその一行は、日米有志協議会への出席のために来日しました。
同会にはヴァンダーリップ一行12名と、日本側からは渋沢栄一ほか日米関係委員会メンバー14名が出席、日米両国間の問題について胸襟を開いて協議することを目的に、4月26日から5月1日まで連続して6日間、午前9時30分より正午まで東京銀行集会所会議室で開催されました。
渋沢栄一は座長を務め、議長には日本からは金子堅太郎アメリカ側議長としてはヴァンダーリップが選出されました。各開催日に協議されたのは次のような事項でした。

開催日(1920年) 主な議題 『伝記資料』第35巻掲載ページ
4月26日 移民問題、協議事項の確認 p.361-371
4月27日 移民問題 p.371-381
4月28日 移民問題、借款問題、シベリア問題、山東問題 p.381-393
4月29日 借款問題、山東問題、シベリア問題 p.393-404
4月30日 朝鮮問題 p.404-414
5月1日 中国開発、海底電線 、満蒙政策 p.414-431

協議内容は和英両文の速記をもとに記録され、後日協議会開催の由来等とともに『日米有志協議会記録』(服部文四郎, 1921.03)として発行されました。『渋沢栄一伝記資料』第35巻には同書からの再録として会議出席者名のほか、各人の発言内容が詳細に紹介されています。
日米の両議長と渋沢栄一は、協議会最終日の挨拶の中で、紛争の原因となる誤解を解くために忌憚のない意見の開陳が行われたことへの感謝を異口同音に述べています。

渋沢男爵(閉会の辞)
[前略] 希望致し度い事は、どうぞ亜米利加及日本の一般の国民が吾々と同じ様なる感情を起される様に致したいと云ふ事であります、幸に両国民が同様なる感情を以て情誼を厚うして参りましたならば、政治家も同じ観念を有する様になる、此に於て国際上の情誼も完全になると思ふので御座います、斯く致したいのが私の終生の希望であるから、此機会に於て御同様は益々協力して以て世界の人民をして道理正しい平和と秩序ある進歩を致させたいと希望して止まぬので御座います、本協議会に於て両議長を始め亜米利加側及日本側の此会議に列席なされた諸君は、実に衷心から腹蔵なき御意見を御披瀝になつて種々御協議下さつたことは私は涙を以て感謝の意を表します [後略]
(『渋沢栄一伝記資料』第35巻p.430-431掲載、『日米有志協議会記録』より)

日米関係委員会では前月の3月17日にも実業家ウォレス・M・アレキサンダー(Wallace McKinney Alexander, 1869-1939。サンフランシスコ日米関係委員会会長)一行を招いて日米関係委員協議会を開催、幾多の問題について腹蔵ない協議がなされています。