出典：『渋沢栄一伝記資料』 3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代 明治四十二年−昭和六年 / 2部 実業・経済 / 2章 交通・通信 / 3節 航空 / 1款 財団法人帝国飛行協会 【第51巻 p.590-591】
1913（大正2）年4月23日、日本航空協会と旧帝国飛行協会が合併して新たな帝国飛行協会が設立されました。日本航空協会で評議員を務めていた渋沢栄一は、1913（大正2）年11月より帝国飛行協会の評議員に就任することとなりました。さらに1918（大正7）年6月24日、帝国飛行協会は国民飛行会と合併、栄一は同年9月に理事に就任しましたが、1923（大正12）年2月に至り協会理事辞任の意向を述べ、同年6月に正式に辞任。その後は顧問となることを引き受け、さらに1929（昭和4）年12月には評議員の重任を承諾、いずれも没年に至るまで在任しています。
『渋沢栄一伝記資料』第51巻p.591には、評議員重任承諾時の協会・栄一間のやりとり書類が次のように紹介されています。
帝国飛行協会書類 （二） （渋沢子爵家所蔵）
（印刷物）
拝啓 益御清祥奉賀候、陳者貴下本協会評議員御任期満了に付き、寄附行為第十三条により更に御嘱託申上候間、御承諾の上御尽力相煩はし度此段申進候 敬具
追て本協会寄附行為第十三条により評議員任期は二ケ年に有之候
昭和四年十二月二十日
帝国飛行協会
会長 男爵 阪谷芳郎
（宛名手書）
子爵 渋沢栄一殿
控
承諾書
貴会評議員タルコトヲ承諾致候也
昭和四年十二月三十日
子爵 渋沢栄一
帝国飛行協会
会長 男爵 阪谷芳郎殿
（『渋沢栄一伝記資料』第51巻p.591掲載）
また、同巻p.581には、1918（大正7）年の帝国飛行協会寄付行為の再録により、同協会の目的、会員等が次のように紹介されています。
帝国飛行協会書類 （一） （渋沢子爵家所蔵）
（印刷物）
財団法人 帝国飛行協会寄附行為 （大正七年七月二十九日改正）
第一章 総則
第一条 本会ハ航空ニ関スル学術技芸及機具ノ進歩発達ヲ奨励保護シ、其ノ趣味知識ヲ普及シ、兼テ会員相互研究ノ便利ヲ謀ルヲ以テ目的トス
第二条 本会ハ帝国飛行協会ト称ス
第三条 本会ハ本部ヲ東京市麴町区有楽町壱丁目壱番地ニ置キ、必要ニ応シ各地ニ支部又ハ特別ナル機関ヲ設ク
第四条 本会ハ 皇族ヲ推戴シテ総裁トス
第二章 会員
第五条 本会ハ 皇族王族ヲ推戴シ名誉会員トス
第六条 男女ヲ問ハス本会ノ趣旨ヲ賛成シ、金弐円以上ヲ寄附スル者ヲ本会会員トス
第七条 本会会員ニハ其ノ寄附金ノ多少ニ応シ特異ノ会員章ヲ贈附シ、本会優待ノ義ヲ明カニス
第八条 会員ハ其ノ寄附金ノ使途ヲ指定スルコトヲ得 [後略]
（『渋沢栄一伝記資料』第51巻p.581掲載）
なお、帝国飛行協会に関する記事は『渋沢栄一伝記資料』中、第51巻p.564-591に掲載されています。
参考：財団法人日本航空協会の概要、沿革
〔財団法人日本航空協会〕
http://www.aero.or.jp/gaiyo.html
