会社名
日本発送電株式会社 [Nippon Hassoden Kabushiki Kaisha]
書誌事項
日本発送電社史. 綜合編・技術編・業務編
東京 : 日本発送電, 1954-1955
3冊 ; 26cm
Title in romaji: Nihon Hassoden shashi
外部機関の所蔵データほか
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「戦争、戦災、復旧、再建」に関する本文の概要 (綜合編p218-227, 232-236, 技術編p13-15, 252-261, 292-293, 附録p43, 業務編p233)
[綜合編]
- 1939(昭和14)年全国にある民間の発送電設備は国策で強制的に出資させられ日本発送電(株)が発足した。同社は1945(昭和20)年3月10日の東京大空襲の被害をみて小石川にある本社の移転先を模索していたが、5月25日の空襲で全社屋が焼失し、重要書類も燃えてしまった。後楽園内の涵徳亭と和田堀変電所、喜多見水力試験所を臨時職場とした。
- 官僚的色彩の強かった日本発送電では、終戦後に機構と運営の民主化への機運が起こった。この流れはやがて日本発送電再編成へと発展した。
- 新井章治総裁は1946(昭和21)年1月に3万数千人の従業員に向け、電力部門の再建が日本再建と工業電化、そして民主主義化につながるというメッセージを発した。
- 戦後急増した電力需要に対応するため、被災した発電所の復旧と新設に万難を排して取り掛かった。工事資金は社債、復興金庫からの借り入れ、米国対日援助見返り資金の放出でまかなった。
[技術編]
- 戦争の進展は軍需産業に対する膨大な電力の供給を強要した。
- 1941-45(昭和16-20)年の需給状況は、水力発電は極めて順調であり、火力発電所には被害があったが、供給確保には支障なかった。
- 戦災状況は水力発電所については軽微であった。火力発電所のうち16か所については終戦まで無傷であったが、他の28か所は大なり小なり被害があった(詳細は資料編に記載)。送電線路は重要都市や重要生産工場を目標とした爆撃に際し被害を受けた所があった。変電所についてもかなりの爆撃被害があった。
[業務編]
- 原爆が投下された1945(昭和20)年8月6日の広島給電管下の状況は、逸早く写真電信によって東京の中央給電指令所に報告された。引継日誌には当時の大惨状が詳細に記されている。当日の第1報、翌7日の第3報の写真電信は社史巻頭に掲載されている。
目次にあらわれた「戦争、戦災、復旧、再建」関連事項
項目 | ページ |
---|---|
日本発送電本史 / 太平洋戦争中の日本発送電 / 空襲により本社社屋灰燼に帰す | 綜合編218 |
日本発送電本史 / 終戦以後の日本発送電 | 綜合編220 |
日本再建と日発職員の使命 | 綜合編222 |
発送変電設備の復旧建設 | 綜合編232 |
総説 / 第2章 計画 / 第2節 太平洋戦争時代 | 技術編13 |
総説 / 第6章 戦時施策並に各種の災害 / 第3節 戦災 | 技術編252 |
総説 / 第7章 電力供給 / 第2節 需給状況 / 第1項 概要 / 太平洋戦争時代 | 技術編292 |
附録 / 3. 火力発電所関係 / 火力発電所の戦災復旧状況 | 技術編附録43 |
総説 / 第3章 業務 / 第7節 給電 / 第3項 太平洋戦争時代 | 業務編220 |
[空襲下の歴史的記録] | 業務編223 |
資料編にあらわれた「戦災、復興」関連事項
カテゴリー | タイトル | 時期 | 補記 | ページ |
---|---|---|---|---|
設備 | 火力発電所の戦災復旧状況 | 昭和19年12月27日〜25年12月 | 表、発電所名、戦災年月日、主なる被害設備とその程度、復旧年月 | 技術編附録43 |
事業所 | 口絵 | 昭和20年8月6日-7日 | 写真 原爆当日広島の惨状速報 | 業務編巻頭 |
財務・業績 | 当社社債:借入金承継一覧(幹事会案) | 昭和26年5月1日現在(推定) | 表、北海道、東北、関東、中部、北陸、関西、中国、四国、九州、計、債務の種類(社債、社債合計、借入金、復興金庫設備(指定日以前)、復興金庫設備(指定日以後)、復金設備小計、復興金庫特別改修工事資金、復金(設備+特修)小計、帝国銀行(債務者特殊借入金)、日本興業銀行(債務者特殊借入金)、三和銀行日比谷支店(債務者特殊借入金)、関東配電、九州配電、借入金合計、社債及借入金合計 | 業務編巻末37 |
年表の「1945年8月」記載事項
年月日 | 内容 | 年表種別 |
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1945(昭和20)年8月2日 | 北陸支店戦災焼失 潮田・鶴見両発電所空襲被害を受く | 当社関係事項 |
1945(昭和20)年8月3日 | 橋本変電所空襲被害を受く | 当社関係事項 |
1945(昭和20)年8月3日 | B29の中小都市爆撃激化 | 国内主要事項 |
1945(昭和20)年8月5日 | 江卸発電所開設 | 当社関係事項 |
1945(昭和20)年8月6日 | 中国支店原子爆弾で潰滅、坂・尼崎東両発電所空襲被害を受く | 当社関係事項 |
1945(昭和20)年8月6日 | 広島市に原子爆弾投下 | 国内主要事項 |
1945(昭和20)年8月9日 | 長崎に原子爆弾投下 | 国内主要事項 |
1945(昭和20)年8月10日 | 尼崎第一・第二・尼崎東各発電所・黒沢尻変電所空襲被害を受く(特に尼二は潰滅的打撃) | 当社関係事項 |
1945(昭和20)年8月10日 | 御前会議、ポツダム宣言受諾の公電を発す | 国内主要事項 |
1945(昭和20)年8月13日 | 川崎変電所空襲被害を受く | 当社関係事項 |
1945(昭和20)年8月13日 | 聯合軍より回電到着 | 国内主要事項 |
1945(昭和20)年8月14日 | 犬山・岩倉両変電所空襲被害を受く | 当社関係事項 |
1945(昭和20)年8月15日 | 当社軍需会社指定取消 | 当社関係事項 |
1945(昭和20)年8月15日 | 日本無条件降伏、鈴木内閣総辞職 終戦の大詔録音放送に国民感泣 | 国内主要事項 |
1945(昭和20)年8月17日 | 軍需大臣に中島知久平就任 | 当社関係事項 |
1945(昭和20)年8月17日 | 東久邇宮内閣成立 | 国内主要事項 |
1945(昭和20)年8月19日 | 全軍に停戦示達 | 国内主要事項 |
1945(昭和20)年8月23日 | 陸相に下村定大将就任、最高戦争指導会議廃止、終戦処理会議設置 | 国内主要事項 |
1945(昭和20)年8月25日 | 電力調整令施行規則廃止 電力消費規正廃止 | 当社関係事項 |
1945(昭和20)年8月26日 | 電力配給規程廃止 | 当社関係事項 |
1945(昭和20)年8月26日 | 軍需省廃止、商工省設置、電力局商工省に移管 | 国内主要事項 |
1945(昭和20)年8月30日 | マッカーサー元帥空路厚木着 | 国内主要事項 |
「社史紹介」へのリンク
- 社史紹介「に」
〔渋沢栄一記念財団 実業史研究情報センター / 社史プロジェクト〕
http://www.shibusawa.or.jp/center/shashi/shasi_na.html#02