会社名
西部瓦斯株式会社 [Saibu Gasu Kabushiki Kaisha]
[Saibugas Co., Ltd.]
書誌事項
西部瓦斯株式会社史. [本編・資料編] / 西部瓦斯株式会社史編纂委員会編
福岡 : 西部瓦斯, 1982.12
2冊 ; 29cm
Title in romaji: Saibu Gasu Kabushiki Kaisha shi
外部機関の所蔵データほか
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「戦災、原爆、復興」に関する本文の概要 (p355-443, 473-476)
- アメリカの原爆の目標都市に当初京都・広島・小倉・新潟があげられていたが、古都京都ははずされ長崎が候補となった。長崎は多数の軍需工場群と宿舎があり、大陸の日本軍との連絡にも重要な港湾都市であった。1945(昭和20)年8月9日アメリカの爆撃機は目標の三菱重工業長崎兵器製作所に原爆を投下した。長崎市の被災戸数は全市の36%、死者7万4千名、負傷者7万5千名。その後の死亡者も入れると死者は10万人を超えるとみられる。
- 三菱重工業長崎兵器製作所の要請で新設したばかりの西部瓦斯長崎支店大橋製造所は爆心地から約800mにあったため、計48名が死亡した。従業員および家族の原爆殉難者名が社史に掲載されている。また生存者2名と遺族1名の証言をもとに、西部瓦斯従業員の原爆体験が記録されている。
- ガス業界は政府の方針でブロックごとに合併することになっており、8月15日午前に西部瓦斯ほか九州地区8事業者が集まって協定を付議、午後に調印の運びであった。しかし一同はラジオの重大放送で終戦を知り、調印を中止し解散した。
- 大口需要家の軍需工場が消滅したため西部瓦斯の1945(昭和20)年下期の需要家戸数は約3万5千戸で、2年前より3万戸近く減少した。また従業員の応召者のうち1/4にあたる61名が戦死または戦病死している。
- 戦後瓦斯統制会は復興対策委員会を設け、地域ごとにガス供給計画をたてた。また損傷したガス管を復旧し終戦直後50%に及んだガスの漏洩を止めるのが何より優先された。西部瓦斯は軍需会社の指定を解除され、ガス漏洩防止作業、戦災工場の復旧や供給再開のための原料炭確保を開始した。
- ガス供給に不可欠の石炭採掘は戦後極端に減少し、各地でガス供給制限が行われた。出炭量が増加し西部瓦斯のガス供給制限が解除されたのは1949(昭和24)年9月末だった。
- 復興のための資金は銀行借り入れと増資でまかなった。1949(昭和24)年に福岡証券取引所に、翌年大阪証券取引所に上場した。資本金が1億円を超え、社債も発行した。1956(昭和31)年には需要家戸数が10万戸の大台に乗り、資本金が10億円になった。
目次にあらわれた「戦災、原爆、復興」関連事項
項目 | ページ |
---|---|
挿入口絵 戦災 | 巻頭 |
挿入口絵 長崎原爆 | 巻頭 |
〔本史〕 / 第3章 極限の戦時体制下で | 323 |
5. 長崎原爆と終戦 | 355 |
京都の身代りに | [355] |
長崎への原爆投下 | [357] |
長崎市の被害 | [358] |
長崎支店の被害 | [359] |
従業員の原爆体験 | [361] |
終戦とともに消えた全九州ガス合併 | [371] |
終戦時の当社の状況 | [372] |
〔本史〕 / 第4章 戦後復興の歩み | 375 |
1. 復興は漏洩防止から | 375 |
2. 当社復興への出発 | 378 |
3. 労働組合の結成 | 393 |
4. 社内諸規程の改革 | 396 |
5. 集中排除の指定と解除 | 404 |
6. 戦後復興期のガス供給 | 408 |
7. ガス料金値上げと公益事業令 | 415 |
8. 朝鮮動乱と佐世保の復興 | 422 |
9. 東浜製造所の新設 | 424 |
10. 子会社の設立―西部硬化煉瓦と西部瓦斯副産― | 432 |
11. 復興資金の調達と社債発行 | 436 |
〔本史〕 / 第5章 高度成長時代を迎えて / 4. 本社社屋の建設と戦後復興の成果 | 473 |
年表の「1945年8月」記載事項
年月日 | 内容 | 年表種別 |
---|---|---|
1945(昭和20)年8月6日 | 広島に原子爆弾投下 | 本史 一般事項 |
1945(昭和20)年8月8日 | 陣山供給所、空襲の被災により休止(八幡営業所全焼し、陣山供給所に移転) | 本史 当社事項 |
1945(昭和20)年8月8日 | ソ連、対日宣戦布告 | 本史 一般事項 |
1945(昭和20)年8月8日 | 八幡大空襲 | 本史 一般事項 |
1945(昭和20)年8月9日 | 長崎支店、原爆により充填乾燥中の大橋製造所壊滅、八千代製造所も焼失大破しガス供給不能となる | 本史 当社事項 |
1945(昭和20)年8月9日 | 長崎に原子爆弾投下 | 本史 一般事項 |
1945(昭和20)年8月14日 | ポツダム宣言受諾 | 本史 一般事項 |
1945(昭和20)年8月15日 | 終戦により春日製造所(福岡)製造休止、春竹製造所は建設一時中止 | 本史 当社事項 |
1945(昭和20)年8月15日 | 軍需会社の指定解除され、山脇正次、生産責任者退任 | 本史 当社事項 |
1945(昭和20)年8月15日 | 九州の8ガス事業者、当社において午前中合併の件協議中、終戦の詔勅放送され解散 | 本史 エネルギー・関連事項 |
1945(昭和20)年8月15日 | 戦争終結の詔勅を放送、第二次世界大戦終息 | 本史 一般事項 |
1945(昭和20)年8月17日 | 東久邇宮稔彦内閣成立 | 本史 一般事項 |
1945(昭和20)年8月18日 | 瓦斯統制会設立(瓦斯工業会を改称) | 本史 エネルギー・関連事項 |
1945(昭和20)年8月24日 | 電力調整令施行規則・電力消費規則廃止 | 本史 エネルギー・関連事項 |
1945(昭和20)年8月26日 | 商工省復活、軍需省廃止 | 本史 エネルギー・関連事項 |
1945(昭和20)年8月30日 | 連合国最高司令官マッカーサー元帥厚木へ進駐 | 本史 一般事項 |
「社史紹介」へのリンク
- 『西部瓦斯株式会社史. [本編・資料編]』 【西部瓦斯, 1982】
〔実業史研究情報センター・ブログ 「情報の扉の、そのまた向こう」 - 2009年6月19日〕
http://d.hatena.ne.jp/tobira/20090619/1245376649