情報資源センター・ブログ

情報の扉の、そのまた向こう

公益財団法人渋沢栄一記念財団情報資源センターがお送りするブログです。
渋沢栄一、社史を始めとする実業史、アーカイブズや図書館に関連する情報をご紹介しています。

 おわりに - 渡米実業団が訪問したピッツバーグの今昔 (9)

 ピッツバーグにおける渋沢栄一と米国実業家の軌跡を7つのエントリーでご紹介してきましたが、そこでとりあげた様々なエピソードは現地を訪ねるまで全く知らないことばかりでした。現地でも建物やさまざまな施設自体の存在感に驚きましたが、その背景となる事項は帰国してから文献やウェブサイトの情報から得たものでした。
 ピッツバーグで活躍した実業家としてアンドリュー・カーネギージョージ・ウェスチングハウスの名前は事前に抜き出すことができましたが、ブログ原稿を作っていくうちにメアリー・シェンリーそしてヘンリー・フィップスの存在を知り、それはまさに目から鱗の経験でした。というのは両人のプロフィールに実業家としてだけではなく、社会事業家(philanthropist)としての活動の記載があったからです。その内容をみるにつけ、米国のフィランソロピーの伝統のスケールに今更ながら瞠目いたしました。またそうしたことを調べるウェブ上のツールも充実していることを実感しました。
 渋沢栄一は500もの企業に関わったと共に、600もの社会事業に関わったといわれていますが、その背景には幕末のパリ万博体験と後年の米国を始め外国の実業家たちとの交流経験が大いに影響していたと考えられます。また1909年の渡米実業団に参加した多くの日本人実業家たちも、訪米経験から米国の実業の実態と実業家たちの人となりについて、また彼らの実行していた社会事業(フィランソロピー活動)について、渡米前の予想を超えるたくさんのことを学んだことと思います。それらについても少しずつご紹介できればと考えております。

参考リンク