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公益財団法人渋沢栄一記念財団情報資源センターがお送りするブログです。
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 【愛媛】 自己の才と資力、世の変遷に鑑みて学に志すよう - 松山商業学校 【『渋沢栄一伝記資料』第44巻掲載】

1915(大正4)年10月1日 (75歳)
是より先、栄一、第一銀行広島支店・同熊本支店開業式参列のため西下の途次、山下亀三郎の懇請に依り、是日松山市に到り当校を参観し、終つて同市公会堂に於て、当校並に愛媛県師範学校・同松山中学校・私立北予中学校・愛媛県立農業学校・松山市立工業徒弟学校の上級生徒及び職員等に対し、講演をなす。

出典:『渋沢栄一伝記資料』 3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代 明治四十二年−昭和六年 / 1部 社会公共事業 / 5章 教育 / 1節 実業教育[承前] / 16款 其他 / 13 松山商業学校 【第44巻 p.545-549】

 1915(大正4)年9月、広島・熊本訪問を予定していた渋沢栄一は、出発数日前に宇和島出身の実業家山下亀三郎(やました・かめさぶろう、1867-1944)からの懇請を受け、初めて四国を訪れることとなりました。
 9月30日夕刻、松山に到着した栄一は官民合同歓迎会に出席して鮒屋旅館に投宿。依頼を受けたのか、宿では入浴後も深夜まで揮毫をしています。
 翌10月1日、栄一は8時40分に宿を発ち、道後公園を経て松山商業学校(現・愛媛県松山商業学校)に赴きました。同校では図書室を一覧、記念植樹を行い、校庭で生徒に対して訓話をしています。その後、県公会堂に移動して松山商業学校ほか中学校等の上級生徒らに対して講演を行い、その中で、自己の才と資力、世の変遷の有様に鑑みて学に志さねばならない、今日の教育は精神の修養が不充分で道徳が駆逐される観があるので十分注意してほしい、と希望を述べています。
 さらに愛媛県農工銀行でも商工業者に対して実業家の本領と題した講演を、松山城天守閣では諸銀行会社が合同で開催した午餐会に臨席、午後には再度県公会堂に赴き女性を対象に、女子の高等教育に関する講演をしています。
 その日の午後3時40分、栄一は1泊2日の慌ただしい滞在を終えて松山駅を後にしました。

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