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 武田晴人「営業報告書の収集とマイクロ化・デジタル化」(『東京大学経済学部資料室年報』第3号)

書誌事項

営業報告書の収集とマイクロ化・デジタル化 / 武田晴人
 東京 : 東京大学経済学部資料室, 2013.03
 p17-30 ; 30cm (『東京大学経済学部資料室年報』第3号)

東京大学経済学部資料室年報』 - 外部機関の所蔵データほか

NDL-OPAC / CiNii Books / Worldcat / NDL Search / Webcat Plus / Googleブックス 1,2

解題

企業の営業報告書には営業概況や決算書類、株主名簿などが掲載され、株主に公開されている。自社の情報を開示する有価証券報告書の提出が上場企業に義務づけられたのは第二次大戦後であり、営業報告書は戦前期の経済史、経営史研究の基本資料である。
戦前期からの営業報告書約1,300社分を所蔵していた東京大学経済学部図書館(現・東京大学経済学図書館)は、1985年(昭和60)に日本工業倶楽部から約8,000社の営業報告書を受贈し、直ちに整理を開始した。詳細な目録を作成し1990年(平成2)に所蔵目録を刊行、その後同コレクションは(株)雄松堂出版マイクロフィルム化し、1995年(平成7)同社の『営業報告書集成第五集』として市販された。
東大経済学部図書館では円滑な利用のために検索手段の改良に努め、マイクロフィルムのデジタル化に着手。試行錯誤の末2005年(平成17)に営業報告書データベースを学内公開。2012年(平成24)にはデジタル画像データをジャパン デジタル アーカイブズ センター(「J-DAC」)の「企業史料統合データベース」に搭載し、一般に有料公開している。
本記事は日本工業倶楽部からの受贈からJ-DACでの公開まで東京大学教員として関わった著者が、28年間にわたる経緯と図書館での目録作成やデジタルデータ作成作業の実態をまとめたもの。会社ごと期ごとに発行されてきた大量の営業報告書を、企業の変遷を追いながら図書館職員らが業種分類を付与し整理していった様子が詳細に報告されている。

目次

項目ページ
1. 営業報告書という資料17
2. 東京大学経済学部図書室における収集18
  2.1 商業資料文庫による収集18
  2.2 日本工業倶楽部資料との出会い19
3. 整理製本とマイクロ化21
  3.1. 寄贈資料の整理21
  3.2 分類と目録作成23
  3.3 雄松堂出版によるマイクロ化24
4. デジタル化構想25
  4.1 デジタル化の必要性25
  4.2 デジタル化構想とその挫折26
  4.3 学内公開からJ-DAC29

参考リンク