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公益財団法人渋沢栄一記念財団情報資源センターがお送りするブログです。
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 『青淵回顧録』 【青淵回顧録刊行会,1927】

書誌事項

青淵回顧録. 上巻・下巻 / 渋沢栄一述 ; 小貫修一郎編著
 東京 : 青淵回顧録刊行会, 1927.08
 2冊 ; 23cm
 注記: 装幀: 小室翠雲 ; 上巻: 8, 14, 57, 672p, 図版10枚 ; 下巻: 16, 768p, 図版10枚

解題

渋沢栄一に私淑した小貫修一郎(おぬき・しゅういちろう)は10年にわたり栄一の談話を筆記編集。この出版に賛同した高橋重治はこの談話筆記を「青淵回顧録」と題し、青淵回顧録刊行会を組織。青淵は栄一の雅号。校閲の時間がとれない栄一は編者の文責で発行することで了解し、背文字と題字を揮毫。本書は栄一の米寿記念として上下2巻計1500頁余で刊行された。
内容は巻頭に栄一の年譜を置き、以下「青淵回顧録」として栄一の幼時から米寿までの出来事や関わった事業、人々などについて56項目を記載。続く第1附録は「青淵論叢」として栄一の倫理観、経済観、人生観などを32項目に記載。第2附録は「諸名士の渋沢子爵観」として各界93人が原稿を寄せている。
初版は1927年(昭2)8月に出版されたが12月には早くも第2版が刊行され、以降も版を重ねた。第2版以降は回顧録の11項目が下巻から上巻へ移動し、第2附録の寄稿者が50人ほど増加。更に「渋沢子爵逸話集」が追加され、種々の雑誌等に掲載された栄一のエピソード36件が収載されている。布製の表紙に星がデザインされ、天金を施した立派な装丁。

書影

『青淵回顧録』標題紙 『青淵回顧録』標紙

*左は標題紙、右は表紙・背・裏表紙。

目次(大項目のみ)

上巻

項目ページ
口絵 陶淵明寓意 / 小室翠雲画伯
口絵 子爵渋沢栄一閣下肖像
題字 / 徳川家達、清浦奎吾、阪谷芳郎、田中義一、一木喜徳郎、粕谷義三、浜口雄幸、益田孝、渋沢栄一
序 / 高橋重治巻頭1-5
「青淵回顧録」上梓に当たりて / [小貫修一郎]巻頭6-7
目次巻頭1-14
青淵渋沢栄一子爵年譜巻頭1-58
少年時代の回顧1
発奮の動機と江戸遊学30
討幕の義挙を企てた頃46
一橋家仕官時代64
一橋家財政改革の前後81
煩悶懊悩時代の回顧96
幕末見聞鎖談111
外国の異風異俗130
仏都巴里を踏んで153
留学時代の回顧172
欧洲各国視察見聞記185
帰朝当時の事情と進退225
明治政府仕官時代250
退官前後の事情274
三条岩倉両公と勝海舟314
維新三傑と江藤副島338
第一銀行創立の前後377
東京銀行集会所の濫觴402
東京商業会議所の由来416
実業教育の創始と沿革429
東京市養育院の沿革449
株式取引所創立と私の態度473
我国海運事業の今昔483
人肥会社と理化学研究所505
私の危難と水道鉄管事件525
今昔の感に堪へぬ瓦斯と電気545
洋紙製造事業と私との因縁561
我国鉄道と保険業の発祥579
我国紡績業創設の回顧596
煉瓦及びセメント事業の変遷608
北海道開拓と炭礦及び麦酒業626
金融逼迫時代と幣制改革問題642
還暦を迎へて667

下巻

項目ページ
還暦を迎へて667
口絵 陶淵明寓意 / 小室翠運画伯
口絵 子爵渋沢栄一閣下肖像
題字 / 水野錬太郎、三土忠造、岡田良平、高橋是清、床次竹二郎、犬養毅、加藤政之助、浅野総一郎
授爵の恩命に浴す1
欧米漫遊の旅路へ7
大患に罹つた思出33
帝国劇場の創立46
朝鮮に於ける銀行事業49
朝鮮鉄道創設の由来59
経済上より見たる歴代内閣72
伊藤博文公と政党組織事情87
進退を共にした井上馨候99
私の見た原・大隈・山縣の三氏111
松方海東老公の思出124
益田孝男と福地桜痴居士141
銀行家 佐々木勇之助氏152
実業界隠退の回顧161
第四回目の米国訪問173
米国大実業家の印象193
印象に残る米国の人々207
欧洲大戦と国際聯盟224
帝都を焦燼した大震火災235
排日問題と国民外交251
大正天皇の追悼266
田園都市創設の由来271
米寿を迎へた喜び289
第1附録 青淵論叢305
第2附録 諸名士の渋沢子爵観(順序不同)481

外部機関の所蔵データほか

NDL-OPAC / CiNii Books 1,2 / Worldcat 1,2,3,4 / NDL Search / Webcat Plus 1,2 / Googleブックス 1,2

参考リンク

更新履歴

2013.09.27:書影に標題紙を追加
2021.04.09:小貫修一郎のよみを修正