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公益財団法人渋沢栄一記念財団情報資源センターがお送りするブログです。
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 松永秀夫著『ハワイ官約移民の父 R・W・アーウィン』 【講談社ビジネスパートナーズ,2011】

書誌事項

ハワイ官約移民の父 R・W・アーウィン / 松永秀夫著
 東京 : 講談社ビジネスパートナーズ, 2011.07
 341p ; 18cm
 注記: 『かながわ風土記』2001年6月号-2003年8月号連載記事を改訂したもの ; ISBN: 9784876019175

本書と渋沢栄一との関係

 本書が扱っているアメリカ人ロバート・ウォーカーアーウィン(Robert Walker Irwin, 1844-1925)は、1866年(慶応2)に来日以来、先収会社(後に三井物産)、共同運輸などの企業に関わる中で、ハワイ国代理公使兼総領事として実務を行った。後には台湾製糖の発起人ともなった。これらの事業には渋沢栄一も関わっており、本文中に何か所も栄一の名前が登場している。

目次

項目ページ
まえがき1
第1章 横浜のPM社に入社
上陸したのは何時か/定期航路の歴史的第一船/世界第一の金を産する/復航に早くも日本人客16
第2章 日本人少女と巡り会う
「郵船」や「飛脚船」も/維新の姿を見渡す/少女の親許が分かる/浅草橋場町に養家/長崎に勤務を替える/初代のアメリカ領事/上田安三郎少年を雇う26
第3章 長崎から帰り外債仲裁
長崎・大浦十二番に勤務/上田が初めて東京へ/日本語に不慣れな勉強/海岸通りで広い商社/「お茶場」を見る機会/外国債の談判に仲裁34
第4章 三十一歳でハワイ王国代理領事
誠実機敏を褒められる/京都旅行を楽しむ/『在日外国人名簿』の位置/ハワイ国代理領事に就く/日本とハワイの両国42
第5章 「先収会社」に加勢
井上・益田が辞職/商事会社への執心/当初「岡田組」と名乗る/米麦輸出に「お命じ」を/岩崎弥太郎と出会う50
第6章 新設商会で存分な行動
羅紗と森村市左衛門/スナイドル銃と福原大佐/ロンドンからも商況/井上馨一家を出迎え60
第7章 ハワイ国王の来遊に大役
ロンドンに代理店を開設/開店の経過を珍しく書く/「お雇い外国人」の名で/三井物産の「顧問役」に68
第8章 国賓の礼遇で応対
ハワイ人と似たる所あり/「国賓の礼を以て」応対に/ようやく現れた乗船/ふたたび礼砲が相次ぐ/鎮守府から伊勢山離宮78
第9章 ハワイ国歌で出迎え
涙ぐませた国歌の演奏/「伝道に当たったレディ」/表慶者が相次いで来訪/三井組の所有地を買上げ88
第10章 フランクリン由来で紹介
明治天皇に皇居で謁する/貴賓用の豪華な延遼館に/フランクリンの由来紹介/横浜の記念行事に参加/明治天皇に内諾を願う98
第11章 私邸にカラカウア王
王姪配偶者に思い込む/「アルウヰン氏方」訪問/紅葉館で日本服に着替え/楽しみの舞踏会を外す/十日間の歓迎を終わる108
第12章 日本の優遇を謝す
神戸から京都、大阪へ/アーウィン昇格の辞令/予算の倍半に補正増額/カラカウア王への特使/上田の結婚式に同席116
第13章 新たに海運会社設立
東京府への結婚届/商船会社設立の風雪/三菱会社へ横暴の声/新しい船会社への是非/主張の趣旨を拾うと/日本政府に貿易の勧め126
第14章 ハワイ少年二人が留学
新聞に名を挙げ意見書/共同運輸会社に命令書/ハワイから特命全権公使/ハワイ少年二人が留学/共同運輸の賛否で二つ136
第15章 イギリスで汽船建造
政府出資の新会社/イギリスで汽船建造/伊藤社長はハワイに経験/同行した三人の動向/初の株主総会を開く/値下げ競争が始まる146
第16章 特命公使の移民を諾す
共同運輸の取締役同格に/お使いに五十銭のお礼/ハワイから特命公使来日/契約条件の整えに準備/イギリスから新造船回着156
第17章 「布哇に往けよ」の論評
カラカウア王からの親書/「布哇に往けよ」の論評/共同と三菱の二船が衝突/共同運輸の船印はあった/書生、商人などには失望164
第18章 約定書草案も掲載
問合わせに苦しむほど/三ヵ年間の随意渡航人/商況社の主幹とも関与/福沢諭吉は「米国行」/進んだか「官」の応対172
第19章 府県で違った対応
東京府知事に依頼を切望/山口県が大島郡で対応/「約定書」早くも刊行/多い神奈川県の寄留者180
第20章 天然痘渡航延びる
「馬越方」寄留の内訳/商況社の罫紙に乗船者/長浦港に一週間の隔離/英字紙による着船リスト/使用品買入れを怪しむ190
第21章 ハワイ島民から厚遇
渡航者と同船に乗込む/捨子を拾い上げたあと/船内の患者に臨時給与/島民から厚遇を受ける198
第22章 罷業があっても第二回船
二ヵ月以内に罷業事件/日本での習慣を生かす/三菱との競合と協定/移民の募集にも注力/天然痘検疫のため隔離206
第23章 渡航条約と二社合併
「ミカド」に贈る予定/「賛成し難き理由」あり/共同と三菱の両社合併/渡航条約に合議決定214
第24章 横浜−ホノルル直行船
整った渡航条約の締結/条約を前に実地で論議/カラカウア王も賛成/「水夫」を選んで分担/禁酒を勧めた教化運動222
第25章 好感呼んだ禁酒と教化
「無比の農夫」に禁酒を/日本人の監督を迎える/移住民から直接の反応/手数料の徴収を認める230
第26章 無賃渡航費を有料に
砂糖の価格を理由に/新憲法成立と新首相/男女差をつけて承諾/十年間の移民おわる238
第27章 グアテマラで「虐待事件」
契約書第十一条の費用か/「逃走」の本人が申出る/珍田領事の現地報告248
第28章 官約移民の役割を終えて
井上馨の裁定で決着/治外法権の廃棄を通告/次々と無約定の渡航船/「自費移民」が八〇〇人以上/むしろ[親日本人的]/兄ジョンとの出会い/「官と官」が不要に/旅券の携帯を明文化258
第29章 十年間・官約の意味
早くも脚気の発症/何で脚気が多かったか/出稼ぎは給料の三ヵ月分276
第30章 ハワイ国をしばしば去来
台湾製糖の創立発起人/外交官の日記による/ハワイ弁理公使の離任/井上馨から依頼受ける/高橋是清の紹介をえて/「日本の土になった」286
付注303
叙勲の授与/アーウィン関係文書(外務省外交史料館)/旧ハワイ王国公使別邸/アルウィン学園・玉成保育専門学校/伊香保ハワイアンフェスティバル/日本ハワイ移民資料館/広島市デジタル移民博物館/JICA横浜・海外移住資料館/横浜港を目指したホクレア号
年表316
引用・参考書326
人名索引339
あとがき340

外部機関の所蔵データほか

CiNii Books / Worldcat 1,2 / NDL Search / Webcat Plus / Googleブックス 1,2

参考リンク