書誌事項
渋沢栄一は漢学とどう関わったか : 「論語と算盤」が出会う東アジアの近代 / 町泉寿郎編著
京都 : ミネルヴァ書房, 2017.02
221, 10p ; 21cm (渋沢栄一と「フィランソロピー」. 1)
注記: シリーズの責任編集: 見城悌治, 飯森明子, 井上潤 ; ISBN: 9784623077786
解題
渋沢栄一は、生涯に約600の社会公共事業や民間外交に関わったとされる。彼の社会公共事業活動を8つの視点から分析し、その思想を重層的に考察するシリーズ「渋沢栄一と「フィランソロピー」」の第1作として、栄一と近代における漢学との関わりをまとめた一冊。本書は2014年から開始された公益財団法人渋沢栄一記念財団の研究プロジェクト「渋沢栄一と漢学研究プロジェクト」の研究成果。編著者は二松学舎大学文学部教授の町泉寿郎氏。
書影
目次
項目 | ページ |
---|---|
シリーズ出版『渋沢栄一と「フィランソロピー」』(全八巻)刊行にあたって / 見城悌治, 飯森明子, 井上潤 | i |
はしがき / 町泉寿郎 | vi |
目次 | [v] |
序章 『論語と算盤』が結んだ実業家と二松学舎 / 木村昌人, 町泉寿郎 | 1 |
一 漢学は近代化の阻害要因か | 1 |
二 渋沢栄一の思想 | 3 |
三 渋沢栄一の教育支援 | 4 |
四 渋沢栄一と近代漢学 | 6 |
第I部 渋沢栄一の思想 | [9] |
第一章 「悲憤慷慨」の人、渋沢栄一 : 「頼山陽」と武士のエートス / 浜野靖一郎 | 11 |
一 江戸期の渋沢 | 11 |
二 悲憤慷慨の士 : 「武士」への憧れ | 12 |
三 排外思想 : 水戸学の影響 | 19 |
四 武士のエートス : 頼山陽に私淑 | 23 |
五 「節女阿正伝」の読解 | 27 |
六 青年渋沢の自画像 | 35 |
第二章 『論語講義』再考 : 近代論語のなかの渋沢栄一 / 桐原健真 | 38 |
一 近代論語の射程 | 38 |
二 「儒学」から「漢学」へ | 41 |
三 否定される「西土の教」 | 46 |
四 「聖人」から「人間」へ | 48 |
五 新たなナショナリティ | 51 |
六 『論語講義』の文化史的意味 | 54 |
第三章 近代中国の「孔教」論と『論語と算盤』 / 于臣 | 61 |
一 『論語』解釈の諸相 | 61 |
二 孔子学の二つの争点 | 65 |
三 梁漱溟の「人生実践の学」 | 67 |
四 渋沢栄一と梁漱溟からみる孔子学の争点 | 70 |
五 渋沢栄一の『論語』読みと商工業立国思想 | 73 |
六 梁漱溟の孔子学と「人生の三大路線 | 76 |
七 梁漱溟の生命哲学と郷村建設理論 | 80 |
八 孔子学の意義 | 84 |
第II部 渋沢栄一の教育支援 | [91] |
第四章 渋沢栄一を偲ぶ朝鮮の人々 : その「縁」と「脈」を中心として / 朴暎美 | 93 |
一 韓国における渋沢栄一評価の二面性 | 93 |
二 渋沢栄一と朝鮮との「縁」と「脈」 | 95 |
三 渋沢栄一を偲ぶ朝鮮の人々 | 105 |
四 人間の顔をした資本主義 | 111 |
第五章 渋沢栄一による中国人留学生支援と日華学会 / 見城悌治 | 117 |
一 近代日中関係と渋沢栄一 | 117 |
二 「支那留学生同情会」の設立とその活動 : 辛亥革命と留日学生 | 117 |
三 「日華学会」の設立とその活動 : 留日中国人学生支援の実相 | 121 |
四 渋沢栄一の中国への「想い」 : 中国人留学生・教育関係者などとの交流 | 127 |
五 日中交流に渋沢栄一が果たした役割 | 138 |
第六章 女子教育の近代化と渋沢栄一 : 「女大学」から日本女子大学の創設へ / 任夢渓 | 143 |
一 渋沢栄一と女子教育 | 143 |
二 渋沢栄一の女性観および女子教育観の変遷 | 144 |
三 女子教育事業に貢献した渋沢栄一 : 日本女子大学を中心に | 155 |
四 良妻賢母主義の影響 | 163 |
第III部 渋沢栄一と近代漢学 | [169] |
第七章 二松学舎と陽明学 / 町泉寿郎 | 171 |
一 なぜ二松学舎と陽明学なのか | 171 |
二 三島中洲・山田準と渋沢栄一 | 172 |
三 二松学舎と近代の漢学教育 | 179 |
四 陽明学に関する三島中洲の言説 | 188 |
五 東敬治の陽明学会 | 194 |
六 三島と渋沢の共鳴のかたち | 196 |
第八章 渋沢栄一の儒教活動 : 聖堂保存・孔子祭典を中心に / 丁世絃 | 204 |
一 なぜ儒教に注目するのか | 204 |
二 孔子祭典会と渋沢栄一 | 205 |
三 斯文会と渋沢栄一 | 210 |
四 渋沢栄一の儒教精神 | 217 |
人名・事項索引 | 巻末1 |
責任編集者紹介 | 巻末 |
執筆者紹介 | 巻末 |
参考リンク
- 渋沢栄一は漢学とどう関わったか
〔ミネルヴァ書房〕
http://www.minervashobo.co.jp/book/b253533.html - 渋沢栄一と漢学研究プロジェクト
〔研究センター|公益財団法人 渋沢栄一記念財団〕
https://www.shibusawa.or.jp/research/project/studygroup/post2016_04_15_71558.html - シリーズ出版企画『渋沢栄一と「フィランソロピー」』|研究センターだより
〔研究センター|公益財団法人 渋沢栄一記念財団〕
https://www.shibusawa.or.jp/research/newsletter/post_6.html
「渋沢栄一と「フィランソロピー」」シリーズ一覧
- 渋沢栄一は漢学とどう関わったか / 町泉寿郎編著
- 帰一協会の挑戦と渋沢栄一 / 見城悌治編著
- 渋沢栄一が目指した地方振興 / 松本和明編著
- 日米欧の福祉社会づくりと渋沢栄一 / 兼田麗子編著
- 国際交流に託した渋沢栄一の望み / 飯森明子編著
- 社会を支える「民」の育成と渋沢栄一 / 見城悌治編著
- 渋沢栄一はなぜ「宗教」を支援したのか / 山口輝臣編著
- 渋沢栄一による文化の継承と創造 / 井上潤編著
(本書巻末より転載)
更新履歴
2020.05.12:カテゴリー変更、書影追加