書誌事項
国際交流に託した渋沢栄一の望み : 「民」による平和と共存の模索 / 飯森明子編著
京都 : ミネルヴァ書房, 2019.10
xi, 206, 8p ; 22cm (渋沢栄一と「フィランソロピー」. 5)
注記: シリーズ責任編集: 見城悌治, 飯森明子, 井上潤 ; ISBN: 9784623086580
解題
渋沢栄一の多方面にわたる「フィランソロピー」活動を分析し、その思想を重層的に考察するシリーズ「渋沢栄一と「フィランソロピー」」の3作目。今回の第5巻は、渋沢栄一が携わった多様な国際交流事業のうち、第一次世界大戦前後という時代背景にあった1910~20年代の活動を中心に、渋沢の欧米やアジアに対する国際認識、社会貢献活動や国内外に与えた影響を考察。国際道徳、実業交流、災害支援など様々な面からのアプローチを通して、渋沢栄一が求めた「国際社会の平和と共存」とは何であったのか、その現代的意義を確認している。
書影
目次
項目 | ページ |
---|---|
シリーズ出版『渋沢栄一と「フィランソロピー」』(全八巻) 刊行にあたって | i |
はしがき | iii |
目次 | [v] |
凡例 | xi |
序章 排外主義から国際主義へ / 飯森明子 | 1 |
一 国際交流への渋沢の出発点 | 1 |
二 変化する国際社会と渋沢の姿勢 | 2 |
三 本書の構成 | 11 |
第I部 平和と共存に向けた「フィランソロピー」活動へのまなざし | [17] |
第一章 日本の国際化と渋沢栄一の「国際道徳」 / 桜井良樹 | 19 |
一 渋沢の国際交流活動 | 19 |
二 日露戦後の日本国内の国際化 | 21 |
三 問われる戦争の道義的正当性 | 24 |
四 『伝記資料』に見る国際道徳 | 27 |
五 国際交流と国際道徳 | 34 |
第二章 渋沢栄一にとって英国とは何か / 木村昌人 | 38 |
一 英国は渋沢の理想の国家であったといえるか | 38 |
二 「依存」から「挑戦者」へ : 変化する日英経済関係 | 40 |
三 欧米漫遊と渡米実業団 | 43 |
四 揺れ動く渋沢の英国観 | 46 |
第三章 渋沢栄一と米国のフィランソロピー / 中嶋啓雄 | 55 |
一 カーネギー、ロックフェラーへの評価 | 55 |
二 渡米実業団とその影響 | 58 |
三 パナマ万博出席と最後の渡米 | 63 |
四 晩年の渋沢による対米「フィランソロピー」 | 66 |
第II部 国際交流活動における日本の実践 | [75] |
第四章 博覧会と渡米実業団の交流 / ジェファー・デイキン (Jeffer Daykin)(翻訳・飯森明子) | 77 |
一 博覧会と国際関係の構築 | 77 |
二 相互参加としての博覧会使節団 | 78 |
三 アラスカ・ユーコン太平洋博覧会と一九〇九年渡米実業団 | 80 |
四 相互理解が育んだ友情の恩恵 | 86 |
五 人脈作りが開いた民間経済外交 | 89 |
第五章 民主化潮流と国際通信社設立への思い / 高光佳絵 | 93 |
一 第一次世界大戦以前の日本外務省の広報外交 | 93 |
二 日本の広報外交の転機と「渡米実業団」 | 97 |
三 「国際通信社」の設立 | 99 |
四 日本の国際的通信社の育成における渋沢の望み | 103 |
コラム1 渋沢栄一のブラジル植民事業支援 / 名村優子 | 110 |
第六章 日本国際連盟協会と新たな国際問題への姿勢 / 飯森明子 | 115 |
一 国際連盟に対する日本の認識 | 115 |
二 日本国際連盟協会の成立 | 117 |
三 平和実現へのステップ | 121 |
四 連盟協会における「国際主義」の限界 | 125 |
第七章 大災害支援にみる渋沢栄一と国際社会 / 飯森明子 | 130 |
一 災害支援の対応をとおして国際社会を考えること | 130 |
二 関東大震災にみる渋沢の救護活動 | 131 |
三 仏国南部地方洪水への支援 : 遠国支援に成功した関西実業家との人脈 | 138 |
四 中国への災害支援 : 混迷する日中関係と人道支援活動の危さ | 141 |
五 被災者への渋沢のまなざしと支援の限界 | 145 |
コラム2 アルメニア難民救済と渋沢栄一の慈善事業 / メスロピャン・メリネ | 149 |
第III部 国際主義の体現とその限界 | [155] |
第八章 近代日朝関係における渋沢栄一の役割とその継承者たち / 金明洙 | 157 |
一 多岐にわたる渋沢の評価 | 157 |
二 大韓帝国期における渋沢の役割と対韓認識 | 159 |
三 植民地期における渋沢の継承者たち | 167 |
四 移植資本主義と実業道徳の欠如 | 171 |
第九章 中国メディアによる報道と渋沢栄一のジレンマ : 一九一四年の中国訪問を手掛かりに / 于臣 | 175 |
一 同時代中国の「孔子学」と渋沢の『論語』読み | 175 |
二 中国メディアの不信感と警戒 | 183 |
三 日中交流史における渋沢訪中の意義 | 187 |
コラム3 渋沢栄一と汎太平洋同盟 / 飯森明子 | 195 |
付録 渡米実業団(一九〇九年)関係資料 | [201] |
一 参加者一覧 | 203 |
二 渡米実業団訪問都市・コース一覧 (一九〇九年) | 206 |
人名索引 | 1 |
事項索引 | 5 |
執筆者紹介 | 巻末 |
責任編集者紹介 | 巻末 |
参考リンク
- 国際交流に託した渋沢栄一の望み
〔ミネルヴァ書房〕
https://www.minervashobo.co.jp/book/b472717.html - シリーズ出版企画『渋沢栄一と「フィランソロピー」』|研究センターだより
〔研究センター|公益財団法人 渋沢栄一記念財団〕
https://www.shibusawa.or.jp/research/newsletter/post_6.html
「渋沢栄一と「フィランソロピー」」シリーズ一覧
- 渋沢栄一は漢学とどう関わったか / 町泉寿郎編著 [既刊]
- 帰一協会の挑戦と渋沢栄一 / 見城悌治編著 [既刊]
- 渋沢栄一が目指した地方振興 / 松本和明編著
- 日米欧の福祉社会づくりと渋沢栄一 / 兼田麗子編著
- 国際交流に託した渋沢栄一の望み / 飯森明子編著 [既刊]
- 社会を支える「民」の育成と渋沢栄一 / 見城悌治編著
- 渋沢栄一はなぜ「宗教」を支援したのか / 山口輝臣編著
- 渋沢栄一による文化の継承と創造 / 井上潤編著
(本書巻末より転載)
更新履歴
2020.05.12:カテゴリー変更、書影追加