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 1909(明治42)年7月23日 外務大臣、旅程の短縮等について各領事に訓令

渡米実業団誌 同団残務整理委員編
  第一四−七二頁 明治四三年一〇月刊
七月二十三日に至り更に小村外務大臣は、一行の希望として又た最後の要求として、一行中には老人婦人も少なからざれば、数千哩の旅行と日々の歓迎には堪へられざる事情もあるに付、主人側に交渉し、成るべく其旅程を短縮すべき旨、又歴訪各地の商業貿易関係等に就いて参考とすべきことは、各地方管轄帝国領事に於て、予め之れを取調べ置き、一行が各地到着前に、之れを一読し得るやうに手配し置くべき旨、各領事に訓令したり。
之れに対し、田中領事よりは種々交渉を重ねたるも、[中略] 此変更をなさんとする時は、更に諸方に交渉するの必要もあり、多大の時日を要し、間に合はざるの虞あるに因つて、途中の道程は凡て他より之れを変更すべからず、若し濫りに之れを省略する時は、米国は地方的観念と、都市的競争の盛んなる国柄とて、甚だ面白からざる結果を生ずべく、殊に米国の真価値は東部に在りて、寧ろ太平洋岸にあらざるを以て、東部を棄て他を観察するとも、実際に於ける効果少なかるべし。因て是非予定線路に由るの外、今日に於ては致方なし。尤も歓迎省略の如き先方に於ても十分に心得居る故、賓客を疲労迷惑せしめざるやうには十分に注意すべきに付き、其辺は安心あるべく、又た医者・従者其他旅行の愉快便利に必要なるもの、出来る丈け便宜随行せしめて差支なき旨を返答し来たれり。
(『渋沢栄一伝記資料』第32巻p.28掲載)

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