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 笹倉一広「渋沢栄一『論語講義』の書誌学的考察」(『言語文化』48巻) 【一橋大学語学研究室, 2011.12】

書誌事項

渋沢栄一『論語講義』の書誌学的考察 / 笹倉一広
  国立 : 一橋大学語学研究室, 2011.12
  p[127]-145 ; 26cm (『言語文化』48巻)

『言語文化』 - 外部機関の所蔵データほか

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本文を読む

解題

渋沢栄一述とされる『論語講義』は、そもそも二松学舎の舎外生のために発行された『漢学専門二松学舎講義録』という全30回の月刊刊行物に29回(12号は休載)にわたって掲載された記事をまとめたものである。渋沢が口述したものを二松学舎教授の尾立維孝が筆述したとされるこの『論語講義』について、本論の筆者は「稿本」「初版本」「新版」等を詳細に比較検討した。その結果この『講義』は渋沢が口述したのではなく、渋沢述の『実験論語処世談』に基づいて尾立が起稿したもので、渋沢の校閲を経た上で連載されるはずであった。しかし校閲が間に合わず尾立の原稿のままで刊行が始まってしまい、渋沢の校閲が追いつくことはついになかった、と結論づけている。

目次

項目ページ
はじめに[127]
『論語講義』の諸本128
《講義録》の論語と《初版本》129
『論語講義』の原稿131
高田利吉の識語132
《稿本》は浄書稿133
《稿本》への書き入れと印刷の結果133
注文をつける渋沢135
口述と筆述136
渋沢と尾立の書翰137
大倉喜八郎伝140
字解、訓話は誰が施したか140
尾立維考の人物141
筆述者の筆143
結論144
144

『論語講義』関連資料一覧

種別タイトル(シリーズ名) / 編著者出版地出版者発行年月ページ数
実験論語処世談 / 渋沢栄一 著東京実業之世界社1922.12858p
稿本論語講義 20巻 / 尾立維孝編 ; 渋沢栄一 校大正写12冊
講義録漢学専門二松学舎講義録 / 渋沢栄一 口話 ; 尾立維孝 筆述東京二松学舎出版部1923.04-1925.09
初版本論語講義. 乾・坤 / 渋沢栄一 口話 ; 尾立維孝 筆述東京二松学舎出版部1925.102冊
新版論語講義 / 渋沢栄一 講述 ; 尾高維考 筆録東京二松学舎大学出版部 ; 明徳出版社(発売)1975.10957p
文庫版論語講義 1-7 (講談社学術文庫 ; 186 - 192) / 渋沢栄一 [著]東京講談社1977.09 - 1977.127冊
*「稿本」は渋沢栄一の依頼で収集された論語コレクション「青淵論語文庫」に収蔵されている。この文庫は1963年に都立日比谷図書館に寄贈され、現在は都立中央図書館に移管されている。

参考リンク

更新履歴

2017.03.08:タイトルを修正