「青淵論語文庫」は渋沢栄一が娘婿穂積陳重(ほづみ・のぶしげ、1855-1926)に委嘱して1922(大正11)年の春から収集した論語文献コレクションでした。このコレクションは稀覯本の収集を目的としたものではなく、論語の刊行、研究、翻訳、利用の実態を知るためのものでした。この1922年は孔子没後2,400年に当たり、11月の竜門社秋季総会で228種811冊のコレクションが展示され、目録(1)が作られました。しかしコレクションは翌1923(大正12)年の関東大震災でほとんどが失われてしまいました。
その後、嫡孫渋沢敬三(しぶさわ・けいぞう、1896-1963)が中心となり再収集がなされ、多くの寄贈者の協力も得て242種[1,008冊]の論語コレクションとなり、それらは飛鳥山邸内に完成していた建物「青淵文庫」に収められました。そして寄贈者への答礼園遊会が1926(大正15)年11月に開催され、コレクションの展示があり、再び目録(2)が作られました。
敬三はコレクションの管理を中学時代の恩師諸橋轍次(もろはし・てつじ、1883-1982)に依頼しており、論語の収集はその後も続けられ、1943(昭和18)年、栄一の十三回忌に当たり目録(3)が作成されました。コレクションは905部6,367冊の論語および四書類の文庫に成長していました。
1963(昭和38)年にコレクションは敬三により都立日比谷図書館に寄贈され、1965(昭和40)年に新たな目録(4)が作成されました。日比谷図書館は2009(平成21)年に東京都千代田区に移管され日比谷図書文化館となり、「青淵論語文庫」コレクションは都立中央図書館へ移管されました。現在は同館の特別文庫室で利用に供されています。
本ブログでは上記目録のうち、(2)(3)(4)について順次内容をご紹介いたします。
- 「青淵論語文庫」目録一覧
タイトル | 発行者 | 発行年 | 収録数 | |
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(1) | 青淵論語文庫蒐集目録 | 竜門社 | 1922 | 228種 811冊 |
(2) | 青淵論語文庫蒐集目録 | [竜門社] | 1926 | 242種 [1,008冊] |
(3) | 青淵論語文庫目録 | 渋沢事務所 | 1943 | 905部 6,367冊 |
(4) | 青淵論語文庫目録 | 東京都立日比谷図書館 | 1965 | [831部] 5,749冊 |
参考リンク
- 『渋沢栄一伝記資料』第41巻 / 第3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代 明治四十二年−昭和六年 (十二) / 第1部 社会公共事業 / 第4章 道徳・宗教(承前) / 第1節 儒教(承前) / 第9款 論語蒐集
http://www.shibusawa.or.jp/SH/denki/41.html#DK410066k - 青淵論語文庫
〔東京都立図書館〕
http://www.library.metro.tokyo.jp/edo_tokyo/tokubun_guide/tabid/2950/Default.aspx - [栄一関連文献][文献解題] 『青淵論語文庫蒐集目録』 【東京印刷,1926】
〔実業史研究情報センター・ブログ「情報の扉の、そのまた向こう」 - 2012年6月19日〕
http://d.hatena.ne.jp/tobira/20120619/1340070870 - [栄一関連文献][文献解題] 『青淵論語文庫目録』 【渋沢事務所,1943】
〔実業史研究情報センター・ブログ「情報の扉の、そのまた向こう」 - 2012年6月20日〕
http://d.hatena.ne.jp/tobira/20120620/1340160006 - [栄一関連文献][文献解題] 『青淵論語文庫目録』 【東京都立日比谷図書館,1965】
〔実業史研究情報センター・ブログ「情報の扉の、そのまた向こう」 - 2012年6月21日〕
http://d.hatena.ne.jp/tobira/20120621/1340245807
更新履歴
2013.07.12:参考リンクに文献解題へのリンクを追加