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公益財団法人渋沢栄一記念財団情報資源センターがお送りするブログです。
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 「徳川慶喜」を検索すると - 人名団体名編

 「徳川慶喜」をおもしろ社史検索してみました。
 社史の中には、経済人だけではなく様々な人物が登場します。血液型レファレンスで話題になった「徳川慶喜」も社史索引データベースのサンプルデータで検索してみました。「一橋」姓であった時期もあるので、検索語は「慶喜」としてみたところ、社史の年表データが36件、索引データが8件、計44件がヒットしました。その年表データのうち同一年月日のものから1件ずつひろって10件、索引からは3件を抜粋し計13件を掲載します。

検索結果から見えてくること

  • 社史の年表には当該会社のことだけではなく、「一般事項」としてその当時の社会状況が記されている場合が多くあります。そして経済人でなくても慶喜のような歴史上の有名人物は、年表の「一般事項」によく登場します。場合によっては年表データだけで生涯が俯瞰できることもあります。
  • 1867年に慶喜の弟昭武と共にフランスに渡航したのは、慶喜ではなく渋沢栄一でした。年表の記述は簡略なので、主語を補って考える必要があります。
  • 1868年1月に慶喜が大阪から江戸に向かったことは、三菱地所の社史と荒川林産の社史で記述が異なっています。このように同じことがらでも社史によって見方が違う場合があるのがわかります。
  • 慶喜が「将軍になった」り、「大政奉還した」時期は他の資料でもすぐわかりますが、1911年に「日本橋の橋標を揮毫した」という情報は社史ならではのものです。
  • 索引で「慶喜」を取り上げているのは、三井銀行王子製紙蛇の目ミシン三菱地所東洋経済新報社平凡社といった種々の業種の社史です。それぞれ本文にどのような内容が書かれているのか興味がひかれます。平凡社は、自社で出版した書目索引に『徳川慶喜公伝』を出しています。

検索結果(抜粋)

内容年月日『社史タイトル』
(発行所、発行年)
種別(詳細)
8月18日の政変により長州派撤退、土佐藩は勤皇過激派の武市瑞山を逮捕(4月)、旧東洋派復権 山内容堂徳川慶喜松平容保等と共に朝議参与を命ぜられる1863.12三菱商事社史. 資料編』(三菱商事、1987)年表(高知)
将軍家茂没し徳川慶喜宗家を相続。1866.07.29『ニチボー75年史』(ニチボー、1966)年表(業界ならびに内外情勢)
徳川慶喜15代将軍となる1866.12.09三井銀行八十年史』(三井銀行、1957)年表(参照事項)
徳川慶喜の弟、民部大輔昭武に従い、フランスに渡航1867.01.11『渋沢倉庫百年史』(渋沢倉庫、1999)年表(当社(創業前史))
徳川慶喜大政奉還1867.10.14『稲畑八十八年史 : 1890〜1978』(稲畑産業、1978)年表(時の流れ)
新政府、将軍徳川慶喜追討令布告1868.01.07『丸の内百年のあゆみ:三菱地所社史. 資料・年表・索引』(三菱地所、1993)年表(一般社会事項)
将軍慶喜、大阪を脱出1868.01.08『荒川林産百年史 : 松脂と共に』(荒川林産、1977)年表(参考事項)
徳川慶喜駿府(静岡)宝台院に入り謹慎1868.07.23静岡銀行史』(静岡銀行、1993)年表(社会の動き)
東京の〈日本橋〉、石造塔橋に改造され、開通式【現在も架かる橋。橋標は徳川慶喜の揮毫。見物人数万人、もみあって多数の重軽傷者を出す】1911.04.03三菱倉庫百年史. 編年誌・資料』(三菱倉庫、1988)年表(業界・社会一般事項)
徳川慶喜没(天保8生。76歳)1913.11.22三菱倉庫百年史. 編年誌・資料』(三菱倉庫、1988)年表(業界・社会一般事項)
一橋慶喜---王子製紙社史. 本編』(王子製紙、2001)索引
徳川慶喜公伝---平凡社六十年史』(平凡社、1974)索引(書目索引)
徳川慶喜---蛇の目ミシン創業五十年史』(蛇の目ミシン、1971)索引

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