「世界一」をおもしろ社史検索してみました。
年の初めは華やいだ気分ですので、社史索引データベースのサンプルデータを「世界一」で検索してみたところ、237件もヒットしました。検索結果には「世界一周」も多く含まれていたのでそれを削除したところ、それでも148件の「世界一」がみつかりました。1909年から1996年まで毎年ひとつのデータをピックアップしてみました。
検索結果からみえてくること
- 1954年までの「世界一」は、生糸、綿布、レーヨンなど繊維製品が多いのがわかります。そして1955年以降は造船、鉄鋼、カメラなどが「世界一」に顔を出してくるのが見えます。
- 1976年には新日鉄の世界一の高炉に火が入り、以降自動車、粗鋼生産も世界一の座を獲得し、著しい経済成長の足跡が浮かび上がってきます。 重工業会社など製造業の社史は「年表」だけでなく「目次」にも「世界一」が現れ、企業業績の拡大が目に見えるようです。
- 1977年以降は平均寿命世界一が何度も登場しています。平均寿命が延びたことは生命保険会社にとっても重要事項でしょうから『明治生命百二十年史』では「索引」にも載っていて、「年表」だけでなく本文でも詳しく扱っていることが予想できます。
検索結果(抜粋)
内容 | 年月日 | 『社史タイトル』 (発行所、発行年) | 種別(詳細) |
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生糸輸出量、中国を抜いて世界一となる 綿布の輸出額が輸入額を凌駕す | 1909 | 『三菱商事社史. 資料編』(三菱商事、1987) | 年表(国内) |
英国ロイド協会、わが社鋼索の優秀を認め、その認定工場に指定。世界一流品の地位を獲得。 | 1914.03 | 『東京製綱株式会社七十年史』(東京製綱、1957) | 年表(わが社の記録) |
(この年)日本綿布輸出英国を凌駕、世界一 (p168) | 1933 | 『倉敷紡績百年史』(倉敷紡績、1988) | 年表(一般・業界関係) |
日本のレーヨン糸年間生産高・輸出量が世界一に | 1937 | 『創新』(クラレ、2006) | 年表(社会の動き) |
化繊協会、スフ生産世界一と発表 | 1954 | 『蛇の目ミシン創業五十年史』(蛇の目ミシン、1971) | 年表(内外主要事項) |
日本の船舶輸出額が世界一に達する | 1955 | 『トキメック・ルネッサンス:100年の歴史の上に』(トキメック、1996) | 年表(業界・一般) |
(この年)日本の年間造船量、起工・進水・竣工とも英・独を抜いて世界一に | 1956 | 『モビリティライフの創造 : 神奈川トヨタ50年の軌跡』(神奈川トヨタ、1998) | 年表(社会・一般) |
東京都の人ロ851万8千人で世界一に | 1957.08 | 『東亜紡織70年史』(東亜紡織、1993) | 年表(一般(*業界)関係) |
関門国道トンネル開通式(世界一の海底トンネル) | 1958.03 | 『清水建設百七十年』(清水建設、1973) | 年表(社会の動き) |
東京タワー完成(高さ333m、当時世界一) | 1958.12.23 | 『山口銀行史. 資料編』(山口銀行、1999) | 年表(日本) |
鉄鋼連盟、昭和35年(1〜12月)の粗鋼生産伸び率で日本は世界一と発表 | 1961.01 | 『日本鋼管株式会社七十年史』(日本鋼管、1982) | 年表(内外主要事項) |
この年、テレビ番組「うちのママは世界一」提供と関連した販売促進策として「ママキャンペーン」を実施 | 1962 | 『味の素株式会社社史. 2』(味の素、1972) | 年表(販売) |
日本のカメラ生産量が西ドイツを抜いて世界一になる | 1963 | 『石川島播磨重工業技術研究所史:1951年〜1999年』(石川島播磨、2001) | 年表(一般 産業・技術動向) |
わが国の新造船進水実績10年連続世界一を記録 | 1965 | 『川崎重工業株式会社百年史:夢を形に. 資料』(川崎重工、1997) | 年表(一般事項) |
世界一の超大型タンカー出光丸(20万9,000重量トン)進水 | 1966.09.05 | 『百三十年史』(日本紙パルプ商事、1975) | 年表(一般事項) |
単一の海上保険会社として世界一の契約量となる | 1970 | 『東京海上百二十五年史』(東京海上、2005) | 年表(東京海上事項) |
民間生保会社の保有契約高、対国民所得比世界一 | 1974.03 | 『安田生命123年史』(安田生命、2003) | 年表(業界・一般) |
世界一のコンクリート橋、彦島有料道路(彦島〜下関)が開通 | 1975.09.30 | 『山口銀行史. 資料編』(山口銀行、1999) | 年表(山口県) |
新日鉄大分製鉄所、世界一の高炉(5,070m3)火入れ | 1976.01 | 『日本興業銀行七十五年史. 別冊』(興銀、1982) | 年表(産業・経済) |
わが国男女平均寿命、世界一 | 1977 | 『静岡銀行史』(静岡銀行、1993) | 年表(社会・経済・金融の動き) |
ギネス、本紙を“共産圏を除き”部数世界一と認定 | 1978.10.20 | 『読売新聞百二十年史』(読売新聞社、1994) | 年表(本社) |
農林水産物の輸入世界一に | 1979 | 『食足世平 : 日清食品社史』(日清食品、1992) | 年表(社会一般) |
自動車生産台数、粗鋼生産量、資本主義国で世界一となる | 1980 | 『三井倉庫八十年史』(三井倉庫、1989) | 年表(業界および一般) |
世界一の超薄型エンドウォールの海上レフユニット発売(名冷) | 1983.2 | 『海に陸にそして宇宙へ : 続三菱重工業社史. 資料編』(三菱重工、1990) | 年表(当社事項) |
日本の平均寿命、男女とも世界一となる | 1984.06.30 | 『大塚製靴 株式会社五十年 : 老舗の近代化』(大塚製靴、2003) | 年表(業界・一般) |
日本の対外純資産額、1298億ドルと世界一の債権国へ | 1985.12 | 『東洋経済新報社百年史』(東洋経済、1996) | 年表(一般事項) |
泉重千代、鹿児島県徳之島で死去(120歳238日、長寿世界一) | 1986.02 | 『日本フエルト80年史』 (日本フエルト、1998) | 年表(業界・一般事項) |
日本の4月末の外貨準備高、西独を抜いて世界一に(IMF統計) | 1987.06.26 | 『帝国ホテル百年史』(帝国ホテル、1990) | 年表(業界・一般事項) |
外貨準備高976億ドルに達し世界一に(平成元.4.30に1千億ドル突破) | 1988 | 『レンゴー株式会社八十年史 : 1909-1989』(レンゴー、1995) | 年表(一般事項) |
株価38,915円の史上最高値(東証一部の時価総額は590兆円で世界一) | 1989.12.29 | 『レンゴー株式会社八十年史 : 1909-1989』(レンゴー、1995) | 年表(一般事項) |
累計粗鋼生産量1億トン達成(昭47.4.22初出鋼以来18年8か月、単一製鋼工場では世界一) | 1991.01.01 | 『未来を拓く : 大分製鉄所20年史. 資料集』(新日鉄大分、1992) | 年表(生産・技術・操業) |
世界一細い繊維を使った人工皮革「ソフリナμ」発売 | 1994.09 | 『創新』(クラレ、2006) | 年表(クラレの動き) |
NPI社、第三ライン増設決定(稼働は翌年11月)、年間生産量世界一の三万m2 | 1996.01 | 『住友林業社史. 別巻』(住友林業、1999) | 年表(山林・営業・住宅部門) |
第2部 石川島播磨重工業30年の歩み / 第1章 新たな出発(昭和35年12月〜39年) / 4 造船分野の業績伸展 / 進水量世界一に | 『石川島播磨重工業社史. 沿革編』(IHI、1992)目次 | 目次 | |
IV 製品事業編 / 第4章 原子力 / 第1節 概観 / 3. 世界一流の原子力メーカーを目指して | 『海に陸にそして宇宙へ : 続三菱重工業社史』(三菱重工、1990) | 目次 | |
V 事業所編 / 第9章 三原製作所 / 第4節 世界一流の産業機械メーカーを目指して(昭和56〜平成元年) | 『海に陸にそして宇宙へ : 続三菱重工業社史』(三菱重工、1990) | 目次 | |
第2章 近代化を推進 1961年-1973年 / 第3節 量的拡大への対応(苫小牧工場) / 3. 世界一の新聞用紙専抄工場へ | 『王子製紙社史. 本編』(王子製紙、2001) | 目次 | |
第五章 一千万部への巨歩 / 第七節 四本社一元化と一千万部 / ギネスが世界一を再認定 | 『読売新聞百二十年史』(読売新聞社、1994) | 目次 | |
日本少年秋季増刊「世界一」 | 『実業之日本社百年史』(実業之日本社、1997) | 索引(書名・雑誌名索引) | |
世界一の長寿国 | 『明治生命百二十年史:1881-2001』(明治生命、2003) | 索引 |
凡例
- 「おもしろ社史検索」を始めるにあたって
〔実業史研究情報センター・ブログ「情報の扉の、そのまた向こう」 - 2012年12月7日〕
http://d.hatena.ne.jp/tobira/20121207/1354846066