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公益財団法人渋沢栄一記念財団情報資源センターがお送りするブログです。
渋沢栄一、社史を始めとする実業史、アーカイブズや図書館に関連する情報をご紹介しています。

 『渋沢栄一自叙伝』 【偉人烈士伝編纂所,1937】 ; 増版【渋沢翁頌徳会, 1938】 ; 復刻版【大空社, 1998】

書誌事項

渋沢栄一自叙伝 / 渋沢栄一講述 ; 小貫修一郎編著
 東京 : 偉人烈士伝編纂所, 1937.12
 6, 6, 21, 1019, 59p, 図版2枚 ; 23cm
 注記: 『青淵回顧録』の増補改訂 ; 発行兼増補改訂者: 高橋重吉 ; 年譜: 巻末p1-59

渋沢栄一自叙伝. -- 増版 / 渋沢栄一口述 ; 小貫修一郎筆記
 東京 : 渋沢翁頌徳会, 1938.02
 12, 12, 1019, 59p, 図版4枚 ; 23cm
 注記: 編纂兼発行者: 高橋重吉 ; 年譜: 巻末p1-59

渋沢栄一自叙伝. -- 増版 / 渋沢栄一口述 ; 小貫修一郎筆記
 東京 : 渋沢翁頌徳会, 1938.05
 10, 12, 1019, 59p, 図版4枚 ; 23cm
 注記: 編纂兼発行者: 高橋重吉 ; 年譜: 巻末p1-59

渋沢栄一自叙伝 : 伝記・渋沢栄一 / 渋沢栄一
 東京 : 大空社, 1998.11
 12, 12, 1019, 59p, 図版4枚 ; 22cm (近代日本企業家伝叢書 ; 9)
 注記: 渋沢翁頌徳会昭和13年2月刊(増版)の複製 ; 年譜: 巻末p1-59

解題

本書は渋沢栄一の幼時から米寿までについての談話を収録し、米寿を記念して出版された『青淵回顧録』を、栄一没後に増補改訂し改題して刊行したもの。本『自叙伝』では『青淵回顧録』と同様の本文の後に、「晩年の渋沢翁」として主に米寿祝賀会の祝辞等を追加している。また『青淵回顧録』では巻頭にあった年譜を巻末に移動し、米寿から没年までの事項を追加。そして『青淵回顧録』の付録である「青淵論叢」「諸名士の渋沢子爵観」「渋沢子爵逸話集」からは、「青淵論叢」の「家訓」のみを収載。なお「はしがき」に、栄一は校閲せず文責は編者にありと記している。
栄一の校閲を経ていないこの『自叙伝』に対し、栄一の子弟らが設立した竜門社は、「恰も先生自叙の稿本を校訂編纂したるものゝ如く装はれてありますけれども、右の編著に関しては竜門社としては勿論のこと、渋沢子爵家としても全然無関係なるものゝ由」という一文を、機関誌『竜門雑誌』592号(竜門社、1938年1月)p15に掲載している。
1938年(昭13)に『自叙伝』の「増版」が渋沢翁頌徳会から刊行された。これは本文は『自叙伝』初版と同様で、見出し語を全て客観的な口調に書き改めたもの。2月の刷では、栄一は校閲せず文責は編者にありと記した「はしがき」と筆記者小貫修一郎の刊行経緯の言葉、「渋沢翁頌徳会」の趣意書が収載されている。しかし5月の刷ではいずれも省かれ、「翁生前の口述に成れる渋沢栄一自叙伝」と記した渋沢翁頌徳会会長星野錫の「刊行趣旨」が追加されている。
1998年(平10)に『自叙伝』「増版」(2月刷)の復刻版が、大空社から「近代日本企業家伝叢書」として出版された。

本文を読む

書影

『渋沢栄一自叙伝』初版『渋沢栄一自叙伝』増版『渋沢栄一自叙伝』復刻版『渋沢栄一自叙伝』復刻版
初版
(標題紙)
増版
(標題紙)
復刻版
(標題紙)
3冊の背表紙

目次(大項目のみ)

初版(1937年刊)増版(1938年刊)および復刻版
(1998年刊)(原本は1938年2月刊)
ページ(初版、増版、復刻版共通)
項目項目
少年時代の回顧生立のころ1
発奮の動機と江戸遊学修養時代30
討幕の義挙を企てた頃血気憂国の志士となる46
一橋家仕官時代幕府の禄を食む64
一橋家財政改革の前後慶喜公の長州征伐81
煩悶懊悩時代の回顧遣仏使節随行の準備96
幕末見聞鎖談其頃の国内事情111
外国の異風異俗西欧各国巡遊の首途130
仏都巴里を踏んで巴里大博覧会と狙撃事件153
留学時代の回顧仏国首都巴里観172
欧洲各国視察見聞記初めて見る西欧各国185
帰朝当時の事情と進退王政復古と帰朝225
明治政府仕官時代新政府大蔵省の役人250
退官前後の事情父晩香の死と当時の政界274
三条岩倉両公と勝海舟幕末の偉人と私(1)314
維新三傑と江藤副島幕末の偉人と私(2)338
第一銀行創立の前後政治を断念実業に専心377
東京銀行集会所の濫觴銀行の経営運用機関402
京商業会議所の由来商工業発達の機関416
実業教育の創始と沿革東京商科大学の由来429
東京市養育院の沿革社会事業に就て449
株式取引所創立と私の態度私と株式取引所473
我国海運事業の今昔岩崎弥太郎西南の役483
人肥会社と理化学研究所化学工業の創始505
私の危難と水道鉄管事件誤解から兇漢に襲はる525
今昔の感に堪へぬ瓦斯と電気電灯及瓦斯事業の創設545
洋紙製造事業と私との因縁王子製紙の今昔561
国鉄道と保険業の発祥交通運輸事業と損害保険579
我国紡績業創設の回顧貿易の発達と機業596
煉瓦及びセメント事業の変遷実業界の種蒔役608
北海道開拓と炭礦及び麦酒業拓地殖民と官業626
金融逼迫時代と幣制改革問題明治中年の財界恐慌時代642
還暦を迎へて事多歳月促667
授爵の恩命に浴す還暦に男爵を授けらる673
欧米漫遊の旅路へ世界各国を視察して685
大患に罹つた思出私の大患711
帝国劇場の創立演劇の改良と音楽724
朝鮮に於ける銀行事業韓国に第一銀行支店を開く727
朝鮮鉄道創設の由来京仁京釜鉄道737
経済上より見たる歴代内閣政界人と財界751
伊藤博文公と政党組織事情私と政党の発生765
進退を共にした井上馨大蔵省役人時代の回顧777
私の見た原・大隈・山県の三氏明治大正の大政治家789
松方海東老公の思出我国財政々策確立の緒口802
益田孝男と福地桜痴居士中外商業新報の創刊819
銀行家、佐々木勇之助氏私の良き補行役832
実業界隠退の回顧八十余種の関係事業と絶縁841
第四回目の米国訪問華府会議に国民使節853
米国大実業家の印象米財界の重要人物873
印象に残る米国の人々私の親愛する米国の友人887
欧洲大戦と国際聯盟国民外交の必要904
帝都を焦燼した大震火災大正十二年の大震災915
排日問題と国民外交米国移民問題と私の立場931
大正天皇の追悼先帝陛下の東宮時代を偲ぶ946
田園都市創設の由来大都市の計画951
米寿を迎へた喜び過ぎし昔を顧みて969
晩年の渋沢翁 / 編者聖恩を感偑長命を喜ぶ983
  世界的の米寿祝賀会(以下同左)983
  祝賀会に於ける賀詞及祝詞994
  渋沢翁の御挨拶1000
  独逸大使ゾルフ閣下の乾杯辞1008
  賀宴に於ける翁の謝辞1009
  今上陛下より単独御陪食を賜はる1011
  皇太后陛下に賜謁癩予防に就て言上す1015
渋沢栄一翁年譜附録 青淵翁年譜巻末1-59

題字、写真、序文等

初版(1937年刊)増版(1938年2月刊)
復刻版(1998年刊)
増版(1938年5月刊)
題字 / 清浦奎吾題字 / 清浦奎吾題字 / 清浦奎吾
写真「晩年の渋沢栄一翁」写真「正二位勲一等子爵渋沢栄一肖像(昭和6年8月)」写真「九十二歳の渋沢翁」
写真「御揮毫の渋沢翁と編者小貫修一郎君」写真「御揮毫の渋沢老子爵と筆者小貫修一郎君。上図は27歳当時の渋沢子」写真「御揮毫の翁」
[家訓]第一則 / 渋沢栄一[家訓]第一則 / 渋沢栄一
刊行趣旨 / 星野錫
序にかへて / 徳川家達序にかえて / 徳川家達序にかえて / 徳川家達
本書刊行に当りて / 小貫修一郎
はしがき / [高橋重治]はしがき / [高橋重治]
家訓「渋沢翁頌徳会」趣意書
目次目次目次

外部機関の所蔵データほか

NDL-OPAC 1,2,3 / CiNii Books 1,2,3,4 / Worldcat 1,2,3 / NDL Search / Webcat Plus 1,2 / Googleブックス 1,2

参考リンク

更新履歴

2016.08.19:解題を一部修正