解題
財団法人竜門社は1931年（昭和6）11月11日の渋沢栄一逝去を受け、機関誌『竜門雑誌』第518号・第519号・第520号をそれぞれ「青淵先生薨去彙報（こうきょいほう）」・「青淵先生追悼会彙報」・「青淵先生国際的追悼彙報」とした特集号を刊行した。「青淵先生薨去彙報」と題した同年11月発行の第518号では、栄一の逝去に関する事項及び弔辞をまとめている。栄一近影の口絵に続き、「青淵先生薨去」として竜門社の弔辞、昭和天皇から賜った御沙汰書、病状、葬儀の模様などを記載。次の「弔辞」には各界から寄せられた44通の弔辞のほか、114通は寄せた団体名のみ掲載。更に「青淵先生観」として、各界からの追悼文と栄一を称えた琵琶歌（高千穂学校1930年作）を載せている。
巻末の竜門社「謹告」
謹告
竜門社は十二月十三日午後四時より帝国ホテルに於て青淵先生の追悼会を挙行致します、したがって、その後に於て、あらゆる意味に於て先生を表現すべき記念号を編輯する考へでありますから、本号はさし当って先生の病状と薨去との報告をする程度にとどめます。但し葬儀に際して霊前に供へられた、弔辞のうち重なるものを掲載して、先生の仁徳が如何に広大であったかを会員諸氏と共に偲びたいと存じます。尚ほ雑誌遅刊の御詫びを致します。
＊旧字は新字に変換
書影
目次（本文より採録）
| 項目 | ページ | |
|---|---|---|
| 目次 | 巻頭 | |
| 最近の青淵先生 （9月17日撮影） | 巻頭 | |
| 青淵先生薨去 | 1 | |
| 弔辞 / 竜門社 | 2 | |
| 法名 | 2 | |
| 墓誌 | 2 | |
| 御沙汰書 | 3 | |
| 青淵先生病状（一） | 4 | |
| [青淵先生]病状（二） | 5 | |
| 薨去 | 16 | |
| 葬儀 | 20 | |
| 弔詞 （順序不同） | 25 | |
| 日本商工会議所 会頭 男爵 郷誠之助 | 25 | |
| 東京市長 永田秀次郎 | 25 | |
| 日本経済聯盟会会長 日本工業倶楽部理事長 工学博士 男爵 団琢磨 | 26 | |
| 国際聯盟協会総裁 公爵 徳川家達 | 27 | |
| 日華実業協会 副会長 児玉謙次 | 27 | |
| 社団法人 ジヤパン・ツーリスト・ビユーロー 会長 久保田敬一 | 28 | |
| 大日本紡績聯合会 委員長 阿部房次郎 | 28 | |
| 大日本蚕糸会会頭 正三位勲二等 子爵 牧野忠篤 | 29 | |
| 財団法人中央社会事業協会 副会長 窪田静太郎 | 29 | |
| 東京日々新聞社会事業団 大阪毎日新聞慈善団 理事長 本山彦一 | 30 | |
| 帰一協会幹事 姉崎正治 | 30 | |
| 社団法人如水会 理事長 藤村義苗 | 32 | |
| 財団法人修養団長 男爵 平沼騏一郎 | 33 | |
| 社団法人化学工業協会会長 従三位勲一等 内田嘉吉 | 34 | |
| 横浜蚕糸貿易商同業組合 組長代副組長 原善一郎 | 34 | |
| 財団法人協調会 会長 公爵 徳川家達 | 35 | |
| 財団法人斯文会会長 聖堂復興期成会会長 公爵 徳川家達 | 36 | |
| 財団法人癩予防協会 名誉会頭 安達謙蔵 | 37 | |
| 東京基督教青年会 理事長 長尾半平 | 37 | |
| 道路改良会長 水野錬太郎 | 38 | |
| 静寛院宮奉賛会代表 星野錫 | 38 | |
| 明治神宮奉賛会々長 正二位勲一等 公爵 徳川家達 | 39 | |
| 東京慈恵会々長 公爵 徳川家達 | 39 | |
| 日印協会 | 40 | |
| 東京府知事 牛塚虎太郎 | 41 | |
| 東京商科大学 | 42 | |
| 財団法人 二松学舎 | 44 | |
| 日本女子大学校学監 井上秀子 | 44 | |
| 東京女学館副館長 正四位勲三等 西河竜治 | 45 | |
| 早稲田大学総長 法学博士 田中穂積 | 46 | |
| 株式会社帝国ホテル取締役会長 男爵 大倉喜七郎 | 46 | |
| 帝国劇場株式会社 取締役会長 西野恵之助 | 47 | |
| 東京帽子株式会社 取締役会長 馬越恭平 | 48 | |
| 日本航空輸送株式会社 取締役会長 西野恵之助 | 49 | |
| 株式会社東京株式取引所 理事長 岡崎国臣 | 49 | |
| 東京瓦斯株式会社 取締役社長 岩崎清七 謹言 | 50 | |
| 京都織物株式会社 取締役会長 飯田新七 | 51 | |
| 株式会社六十九銀行 頭取 長部松三郎 | 51 | |
| 魚介養殖株式会社 | 52 | |
| 株式会社東京石川島造船所 | 52 | |
| 東京市養育院職員代表 東京市養育院幹事 田中太郎 | 53 | |
| 滝野川町長 有馬浅雄 | 54 | |
| 福島県白河町 県社南湖神社々司 中目瑞男、奉賛会 川崎大四郎、総代々表 堀川久助、同 大木九兵衛 | 54 | |
| 財団法人修養団主幹 蓮沼門三 | 56 | |
| [その他の弔辞] | 60 | |
| 弔文、弔詩、弔句 | 62 | |
| 青淵先生観 | 65 | |
| 渋沢翁を憶ふ / 門下生代表 堀越善重郎 | 65 | |
| 渋沢青淵翁を悼む / 蘇峰生 | 69 | |
| 正しい道を踏んだ人である / 内閣総理大臣 若槻礼次郎 | 73 | |
| 東京市の大恩人 / 東京市長 永田秀次郎 | 74 | |
| 過ぎる程の称讃の辞はない / 大蔵大臣 井上準之助 | 75 | |
| 深い人であつた / 高橋是清 | 76 | |
| 渋沢翁の死 / 東京朝日新聞 | 77 | |
| 渋沢栄一翁 / 東京日日新聞 | 78 | |
| 渋沢子爵を惜む / 時事新報 | 80 | |
| 渋沢子爵の薨去を悼む : 九十二年の生涯とその大功業 / 中外商業新報 | 82 | |
| 偉大な平凡人故渋沢翁を素描する / 上田生 | 84 | |
| 日本資本主義の最高指導者渋沢栄一 / 土屋喬雄 | 89 | |
| 琵琶歌「青淵先生」 / 高千穂学校作歌、福沢錦凌氏作曲 | 98 | |
| 彙報 | 99 | |
| 本社記事 | 99 | |
| 会員動静 | 101 | |
| 謹告 | 101 | |
| 年賀とりやめ | 101 | |
| [喪中挨拶状] | 102 | |
外部機関の所蔵データほか
NDL-OPAC / CiNii Books / Worldcat / NDL Search / Webcat Plus / Googleブックス 1,2
『竜門雑誌』の渋沢栄一追悼関係特集号一覧
| 号 | 特集名 | 刊行年月 |
|---|---|---|
| 518 | 青淵先生薨去彙報 | 1931年11月 |
| 519 | 青淵先生追悼会彙報 | 1931年12月 |
| 520 | 青淵先生国際的追悼彙報 | 1932年1月 |
| 522 | 青淵先生グラフ | 1932年3月 |
| 530 | 青淵先生一周忌記念号 | 1932年11月 |
| 542 | 青淵先生三回忌追憶号 | 1933年11月 |
| 554 | 特輯 青淵先生に関して | 1934年11月 |
| 566 | 青淵先生四周忌記念特輯 | 1935年11月 |
参考リンク
- 昭和6年11月(1931年) 是月、当社ハ「竜門雑誌」第五百十八号ヲ、青淵先生薨去彙報トシテ、特輯発行ス。 【p.295】
〔『渋沢栄一伝記資料』第43巻 目次詳細（綱文）〕
http://www.shibusawa.or.jp/SH/denki/43.html#DK430037k - 10.財団法人竜門社追悼会 昭和6年12月13日(1931年) 是日、財団法人竜門社、帝国ホテルニ於テ、栄一ノ追悼会ヲ催ス。尚、同社発行ノ『竜門雑誌』第五百十八号・第五百十九号及ビ第五百二十号ヲソレゾレ「青淵先生薨去彙報」・「青淵先生追悼会彙報」及ビ「青淵先生国際的追悼彙報」トシテ特輯ス。 【p.819】
〔『渋沢栄一伝記資料』第57巻 目次詳細（綱文）〕
http://www.shibusawa.or.jp/SH/denki/57.html#DK570358k - 財団法人竜門社 - 58.修養団体:渋沢栄一伝記資料第58巻事業別年譜より
〔渋沢栄一記念財団 渋沢栄一 / 『渋沢栄一伝記資料』 / 事業一覧〕
http://www.shibusawa.or.jp/SH/denkijigyo/np058.html#J-0768 - 昭和5年5月27日(1930年) 是ヨリ先、当校ニ於テ、琵琶歌「青淵先生子爵渋沢栄一」ヲ作リ、福沢錦凌ニ作曲セシメ、是日、当校創立第二十七周年記念会ニ際シ弾奏セシム。 【p.530-533】
〔『渋沢栄一伝記資料』第45巻 目次詳細（綱文）〕
http://www.shibusawa.or.jp/SH/denki/45.html#DK450199k - 財団法人高千穂学校 - 61.一般教育関係:渋沢栄一伝記資料第58巻事業別年譜より
〔渋沢栄一記念財団 渋沢栄一 / 『渋沢栄一伝記資料』 / 事業一覧〕
http://www.shibusawa.or.jp/SH/denkijigyo/np061.html#J-0885
