情報資源センター・ブログ

情報の扉の、そのまた向こう

公益財団法人渋沢栄一記念財団情報資源センターがお送りするブログです。
渋沢栄一、社史を始めとする実業史、アーカイブズや図書館に関連する情報をご紹介しています。

 「クロアチアのMuseum Documentation Center (MDC)」 (10) おわりに〜博物館ネットワーク評議会のページ

 これまでクロアチアのMuseum Documentation Center (MDC)について、10のエントリーでご紹介してきました。MDCという組織が博物館・図書館・アーカイヴ(MLA)の要素をどのように融合させて活動しているか、おわかりいただけたかと存じます。最後に、MDCサイトに掲載されている博物館ネットワーク評議会のページをご紹介いたします。この評議会はMDCがコーディネーターを務めている組織です。

博物館ネットワーク評議会(Museum Network Councils)

 ここでは評議会の構成がわかりやすい図で示されています。横の色分けは、芸術、考古学、歴史、技術、民族学、自然科学という博物館の6つのタイプを現わしています。その博物館のタイプごとに、中心機関、実働機関、会員機関のアイコンが描かれています。建物のアイコンからは対象機関へのリンクがあり、クリックするとMDC博物館名鑑の該当機関のデータが表示されます。また長官(director)と顧問(adviser)の人物アイコンからは、該当人物のメールアドレスがリンクされています。この構成図は博物館を利用する専門家から子供まで、誰にでもわかりやすく組織の情報を提供していると言えるでしょう。こうしたウェブサイトのデザイン面にも、MDCが力を発揮しているのが感じられます。

おわりに

 MDCの創設者A.バウアー博士は、第一次大戦後のヨーロッパで研鑽をつみ、第二次大戦の時期にも博物館での実績を重ねてきました。彼の構想により1955年創設されたMDCは、クロアチア全国の博物館情報を収集発信するとともに、自らもコレクションを構築し展示活動を行っています。それと同時に各種記録をアーカイブしてデータベースを構築し、図書館の活動も充実させて幅広い出版活動を行ってきています。それらの活動実績をもってMDCは1990年代の内戦期を乗り切り、被災の記録も出版しました。インターネットの時代になりMDCが更に活動を充実させ現在に至っていることは、学ぶべき大きな価値があるといえるでしょう。

  • カラフルなデザインのMDC紙袋とメモ帳
    MDC紙袋

クロアチアのMuseum Documentation Center (MDC)」 目次

(1)はじめに
(2)MDCの概要
(3)MDCのコレクション
(4)MDCの図書館
(5)MDCのアーカイヴ
(番外編) 『クロアチアの博物館とギャラリーの戦争被害』
(6)クロアチアの博物館名鑑
(7)MDCのプロジェクト
(8)MDCの出版物
(9)MDCの創設者バウアー博士とライブラリアン
(10)おわりに〜博物館ネットワーク評議会のページ