情報資源センター・ブログ

情報の扉の、そのまた向こう

公益財団法人渋沢栄一記念財団情報資源センターがお送りするブログです。
渋沢栄一、社史を始めとする実業史、アーカイブズや図書館に関連する情報をご紹介しています。

 1923(大正12)年12月5日 (83歳) 佐野利器の講演 【『渋沢栄一伝記資料』第43巻掲載】

是日、東京銀行倶楽部に於て、当社評議員会開催後、有志晩餐会催され、佐野利器の建築に関する講演あり。栄一出席して、精神の復興に就いて演説をなす。

出典:『渋沢栄一伝記資料』 3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代 明治四十二年−昭和六年 / 1部 社会公共事業 / 4章 道徳・宗教 / 5節 修養団体 / 1款 財団法人竜門社 【第43巻 p.166-172】
・『渋沢栄一伝記資料』第43巻目次詳細
http://www.shibusawa.or.jp/SH/denki/43.html

関東大震災から3ヶ月後の1923(大正12)年12月、竜門社が開催した有志晩餐会の席上、佐野利器(さの・としかた、1880-1956)の講演が催されました。佐野利器国技館や東京駅の構造を設計した建築家で、その論文「家屋耐震構造論」は日本の建築構造学の基礎を築いたと言われています。この当日のことは『渋沢栄一伝記資料』第43巻p.171-172に、栄一の秘書である増田明六の日誌から次のように紹介されています。

(増田明六)日誌  大正一二年     (増田正純氏所蔵)
[前略]
十二月五日 水 曇
○上略
午後四時半、銀行倶楽部ニ於て、竜門社評議員会を開き、入社申込者諾否の件、社則改正の件を協議し、前者ハ入社を応諾し、後者は重大なる案件なるを以て、次回の評議員会迄に熟読を請ふ事と決したり、次て
午後五時、佐野利器博士の家屋建築ニ就ての講話あり、日本家屋木造煉瓦造・鉄筋コンクリート造と地震との関係ニ就き、有益なる講話なりし
食後、青淵先生より、地震後物質の復興ニ付てハ官民共ニ大ニ努めらるゝが、同時ニ精神の復興にも尽力セられたし、殊ニ竜門社会員ニ於ては、最も此点ニ留意せられたしと訓話せられたり
(『渋沢栄一伝記資料』第43巻p.171-172)