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公益財団法人渋沢栄一記念財団情報資源センターがお送りするブログです。
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 1902(明治35)年12月8日 (62歳) 欧米漫遊の報告演説 【『渋沢栄一伝記資料』第22巻掲載】

是日、臨時会第一日の会議に於て、栄一欧米漫遊の報告演説をなす。

出典:『渋沢栄一伝記資料』 2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代 明治六年−四十二年 / 1部 実業・経済 / 7章 経済団体及ビ民間諸会 / 1節 商業会議所 / 4款 商業会議所聯合会 【第22巻 p.752-811】
・『渋沢栄一伝記資料』第22巻目次詳細
http://www.shibusawa.or.jp/SH/denki/22.html

渋沢栄一は、日本と欧米の商工業者同士の意思疏通、および海外における日本商工業者に対する意識調査の目的で、1902(明治35)年5月15日から10月30日にかけて欧米を訪問しています。『渋沢栄一伝記資料』第22巻p.770-772には『渋沢男爵欧米漫遊報告』からの転載として出発から帰国までの日程が、p.772-811には訪問地の商業会議所等の団体に関する調査報告が掲載されています。
1902(明治35)年12月8日に商業会議所聯合会で行われた報告演説の内容は同第22巻p.753-p.770に、『臨時商業会議所聯合会議事速記録』からの転載として紹介されています。その中で栄一は、ロンドンの商業会議所における会合で、日本の貿易商には商業道徳に欠ける者が多いと指摘されたエピソードについて触れ、攻撃的ではなかったものの、それでも耳を刺されるような思いだったと、その時の心情も交えて詳細に語っています。また演説の終盤で栄一は、将来に向けて希望することとして次の3点を挙げています。

  1. 政治・商工業を問わず、外国人を疎外的に扱うような考えは排除する。
  2. 継続的に情報を受発信し、内外商工業者間の意思疎通を継続する手段を検討する。
  3. 商業道徳を修め、世界からの信頼を得る。