是日栄一、アメリカ合衆国人ジャッジ・ティー・バークの死去に対し、ジェームズ・ディー・ローマンに宛て弔電を発す。次いで十五年一月十二日同人宛追悼の書翰を発す。
出典：『渋沢栄一伝記資料』 3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代 明治四十二年−昭和六年 / 1部 社会公共事業 / 3章 国際親善 / 7節 其他ノ資料 / 4款 慶弔 【第40巻 p.561-562】
・『渋沢栄一伝記資料』第40巻目次詳細
http://www.shibusawa.or.jp/SH/denki/40.html
[前略] Judge Burke ハ日米問題ニ関シテハ常ニ正義人道ノ大義ニ拠リ、勇敢ニ排日運動ノ矢面ニ立チ当方面ノ排日思想及運動ノ緩和、並ニ日米両国人間親交ノ為ニ尽シタル [後略]
（『渋沢栄一伝記資料』第38巻p.537-538掲載、外務大臣幣原喜重郎宛・在シアトル領事川村博書簡「Judge Burke 銅像建設寄附金ニ関スル件」より）
トーマス・バーク（Thomas Burke,1849-1925）は排日運動の緩和など日米親交に尽力したアメリカの法律家で、ジャッジ（Judge)・バークとも呼ばれています。
『渋沢栄一伝記資料』第40巻p.561-562には、バークの訃報を新聞で知った渋沢栄一が旧知のジェームス・D・ローマン（James D. Lowman）に宛てて弔電と追悼書簡を送ったことが紹介されています。栄一はその書簡の中で、「ジヤツジ・バーク氏は殊に正義人道の観念に富み、強者の横暴を制し、弱者を擁護し、終始一貫嘗て渝ることなく、其高風欣慕に堪へず、老生の常に敬意を表したる一人に有之候」と述べ、さらに、ご遺族を存じ上げないので衷情を伝えていただきたいと依頼しています。ローマンはシアトル商工会議所会頭を務めた実業家で、1909（明治42）年栄一を団長とする渡米実業団を招聘した米国太平洋沿岸連合商業会議所の委員長でした。
なお、トーマス・バーク関係文書は米ワシントン大学図書館が所蔵・公開しており、その中には栄一関連資料を含むフォルダが2つ（15/22, 55/5）存在します。そして、そのうちのひとつ（55/5）は、まさに1925年12月9日の日付のついたお悔やみ（condolences）の内容をもつ文書であることがわかります。
参考：Thomas Burke papers
〔Special Collections, UW Libraries〕
http://www.lib.washington.edu/specialcoll/findaids/docs/papersrecords/BurkeThomas1483.xml
