情報資源センター・ブログ

情報の扉の、そのまた向こう

公益財団法人渋沢栄一記念財団情報資源センターがお送りするブログです。
渋沢栄一、社史を始めとする実業史、アーカイブズや図書館に関連する情報をご紹介しています。

 1925(大正14)年1月28日 (84歳) 孫文危篤、高木陸郎に代理見舞いを依頼 【『渋沢栄一伝記資料』第38巻掲載】

日栄一、孫文危篤の報に接し、在北京の高木高木陸郎宛に代理見舞依頼の電報を発す。三月十二日孫文逝く。栄一、霊前に花環を供ふ。

出典:『渋沢栄一伝記資料』 3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代 明治四十二年−昭和六年 / 1部 社会公共事業 / 3章 国際親善 / 5節 外賓接待 / 4款 中華民国国民党党首孫文歓迎 【第38巻 p.587-590】
・『渋沢栄一伝記資料』第38巻目次詳細
http://www.shibusawa.or.jp/SH/denki/38.html

1925(大正14)年1月28日、孫文(そんぶん、1866-1925。中国の革命家、政治家)危篤の知らせを受けた渋沢栄一は、中日実業副総裁高木陸郎(たかぎ・りくろう、1880-1959)に電報で代理見舞いを依頼しました。2月12日には栄一宛に孫文名で「御懇篤なる御見舞拝受、御厚誼感謝す、只勇気と自信力に依り病に勝つ事を期す、幸に御放念を乞ふ。」(『渋沢栄一伝記資料』第38巻p.587)との返電が送られましたが、孫文はそのひと月後の3月12日に他界しました。
孫文との交流について、栄一が語った内容が『渋沢栄一伝記資料』第38巻に次のように紹介されています。

竜門雑誌 第四八九号・第八八―九〇頁 昭和四年六月
    陳煥章氏来訪
[前略]
日本と貴国とは国情は相違するけれども、道徳の根本は共に孔子の教を遵奉して居る、又文字も同様であり、従つて人情も非常に似て居ります、そして共に東洋に隣して国を為して居るのでありますから、これから先世界から侮られず、お互に尊敬される国にならなければならぬ それにはどうしても中華民国と日本とが経済的に道徳的に結びつかねば完全たり得ないでありませう、[中略] 聞く処によると貴方[孫文]と袁世凱との仲が面白くないと云ふことであるが前申す通り国内で相争ふのはよろしくないから、政治の方は袁に委ね、貴方は専ら経済の発展に尽されたらどうか、[中略] 日支合同の大会社を作らうと云ひました処、先生[孫文]も然りと答へ、二・三度その協議に打寄つたことがあります、そして一つの会社たる中実業株式会社の創立を進めました、処がその事を約束してから孫氏が帰国の途につかれ、長崎まで行かれた時に宋教仁が上海で暗殺せられたと聞いたとかで、袁が刺客を使つて自分の腹心の者を殺すやうでは、手を握つて進むことは出来ないと大いに憤り、直に私の処へ書を寄せて「会社設立の事をお約束したが、政治を袁に譲つて自分は経済上の事ばかりやつて居られぬから悪しからず」と断つて寄こされました。その後此の会社は北京の方即ち袁との間に成り立ち、兎に角経済上相助けると云ふ形造りは出来たけれども、その後の経営は面白くない模様であります、孫先生は次の革命には失敗せられ、亡命的に日本へ来られた時、私を訪ね、革命のために必要だから金の心配をしてくれと申されましたが、政治のことは私の領分でなく、その方面に力がないからお断りしました、そして事業経済上の事柄なら心配し得られるが、戦争に使ふ金はどうもならぬ、と前の時の話をしたやうな次第でした [後略]
(『渋沢栄一伝記資料』第38巻p.573-574)

参考:「中日実業会社」に関する会談記録 (PDF)
孫文記念館所蔵展示資料検索〕
http://sv14.wadax.ne.jp/~sonbun-or-jp/database1/data/00106.pdf
「中日実業会社関係雑纂」
国立公文書館 アジア歴史資料センター
http://www.jacar.go.jp/DAS/meta/MetSearch.cgi?GRP_ID=G0000101&DB_ID=G0000101EXTERNAL&IS_STYLE=default&XSLT_NAME=MetaSearch.xsl&IS_NUMBER=20&SUM_KIND=MetaSummary&SUM_NUMBER=20&IS_KIND=SimpleSummary&IS_SCH=META&IS_START=1&IS_EXTSCH=&IS_TAG_S1=InfoD&IS_KEY_S1=%E4%B8%AD%E6%97%A5%E5%AE%9F%E6%A5%AD%E4%BC%9A%E7%A4%BE%E9%96%A2%E4%BF%82%E9%9B%91%E7%BA%82&IS_SORT_KND=ASC&IS_SORT_FLD=&IS_MAP_S1=SYNONYM&IS_LGC_S32=&IS_TAG_S32=&IS_TAG_S32=&IS_RNG_BGN_S32=&IS_RNG_END_S32=&from_yearS32=&from_monthS32=&from_dayS32=&to_yearS32=&to_monthS32=&to_dayS32=