是日、当劇場に於て、新築落成披露会催され、栄一出席す。
出典:『渋沢栄一伝記資料』 3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代 明治四十二年−昭和六年 / 1部 社会公共事業 / 6章 学術及ビ其他ノ文化事業 / 2節 演芸 / 1款 帝国劇場 【第47巻 p.378-382】
・『渋沢栄一伝記資料』第47巻目次詳細
http://www.shibusawa.or.jp/SH/denki/47.html
二月十日 晴 寒
○上略
午後一時帝国劇場会社ニ抵リ、劇場新築落成披露会ニ出席ス、観覧ノ為来会スル者凡千数百名ニ至ル、畢テ中央亭ニ於テ重役会ヲ開キ、開業式ニ関スル手続ヲ協議ス、議事畢テ夜飧○下略
(『渋沢栄一伝記資料』第47巻p.379、「渋沢栄一 日記 明治四四年」より)
1911(明治44)年2月10日午後1時、落成なった帝国劇場の公式披露会が「各方面の紳士淑女を招待」して開催されました。帝国劇場創立委員長(後に取締役会長)の渋沢栄一をはじめ、取締役西野恵之助(にしの・けいのすけ、1864-1945)らは、その日は正午より出席し来賓を接待しています。
さらに5日後の2月15日には劇場の大食堂で新聞雑誌記者を招いて、開場式および初興業のスケジュールが下記のように発表されました。(『渋沢栄一伝記資料』第47巻p.379 『竜門雑誌』第273号(1911.02)p.64-65より。帝劇史編纂委員会編『帝劇の五十年』(東宝, 1966.09)p.99,155で補足)
開場式:1911(明治44)年3月1日、2日 それぞれ午後4時より
三番叟、ついで立食の饗応
山崎紫紅作「頼朝」一幕
松居松葉作 喜劇「最愛の妻」一幕
女優の舞踏(西洋舞踊「フラワー・ダンス」一場)
初興業:3月4日より
山崎紫紅作「頼朝」三幕
「伊賀越道中双六」より「饅頭娘」
右田寅彦作「羽衣」
『渋沢栄一伝記資料』第47巻p.378-382には、渋沢栄一の日記や『竜門雑誌』『帝劇十年史』などからの転載により、帝国劇場落成の様子が紹介されています。
なお、西野恵之助は山陽鉄道で鉄道事業改良に尽力、帝国劇場創設後、東京海上保険、東洋製鉄を経て白木屋呉服店社長、日本航空輸送社長を務めた人物です。(参考文献:日本工業倶楽部編『日本の実業家 : 近代日本を創った経済人伝記目録』(日外アソシエーツ, 2003.07))
参考:帝国劇場
〔写真の中の明治・大正 - 国立国会図書館所蔵写真帳から - 国立国会図書館〕
http://www.ndl.go.jp/scenery/data/279/index.html
http://www.ndl.go.jp/scenery/column/teikoku-gekijo.html (コラム)