渡米実業団誌 同団残務整理委員編
第一四−七二頁 明治四三年一〇月刊
一行の到着に際し、移民及税関簡易通過の儀は、既に先年米国実業家来朝の際に、我政府に於ても、好意を以て其取計ひをなしたることなれば、今回の一行に対しても、米国側が同様の好意を表し、之れに酬ゆる所あるべきは、相当のことなりと雖も、念の為めに交渉せしめたる所、田中領事より、七月三十日付を以て、右は其筋に於て疾くに承知し居り、適当なる時機に於て、地方官憲に訓示すべく、又右一行の旅行中に於ける汽車中の食事、其他の費用は、総て米国側に於て負担すべく、唯大都会等に於て汽車を去つてホテルに入る時のみ、ホテルの費用其他は、日本実業家側に於て負担することゝ、承知せられたき旨、報告ありたり。
(『渋沢栄一伝記資料』第32巻p.30掲載)