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 『現代語訳渋沢栄一自伝 : 「論語と算盤」を道標として』 【平凡社,2012】

書誌事項

現代語訳渋沢栄一自伝 : 「論語と算盤」を道標として / 渋沢栄一著 ; 守屋淳編訳
 東京 : 平凡社, 2012.02
 295p ; 18cm (平凡社新書 ; 628)
 注記: 渋沢栄一の肖像あり ; ISBN: 9784582856286

解題

本書は中国古典研究家の守屋淳が、渋沢栄一の談話を収録した複数の書籍から栄一の生涯に沿ってエピソードを抽出して再構築し、現代語にわかりやすく書き改めたもの。第1章から第5章は幼時から大蔵省退官までの経歴で、主に『雨夜譚』によっている。各章はそれぞれ『雨夜譚』の巻1から5に対応した内容で、他の資料から採ったエピソードを交えている。続く第6章と第7章は実業界転身から他界までの経歴で、主に『青淵回顧録』によっている。第6章は「日本に必要なのは会社だ―実業界篇」という章タイトルのもとに9つの項目が立てられ、栄一の実業界での事績をまとめている。一方第7章は「道徳と経済はひとつ―社会事業篇」という章タイトルで、本書の副題「『論語と算盤』を道標として」と呼応し、道徳経済合一説を唱えた栄一の足跡を6項目の下に記述している。
『雨夜譚』『青淵回顧録』の他に参照した資料として、『渋沢栄一伝記資料』『論語講義』『航西日記』『実験論語処世談』『青淵百話』『論語と算盤』『熱海閑談録』『攘夷論者の渡欧』が、また考証に参照した資料に鹿島茂著『渋沢栄一』(文芸春秋, 2011)があげられている。

目次(大項目のみ)

項目ページ
目次巻頭
まえがき / 守屋淳11
第1章 倒幕の志を抱いて-『雨夜譚』巻之一15
第2章 試みに、一橋家へ仕官してみる-『雨夜譚』巻之二52
第3章 フランスで受けた近代化の洗礼-『雨夜譚』巻之三117
第4章 幕府瓦解、慶喜のもとへ-『雨夜譚』巻之四159
第5章 新政府で元勲とともに-『雨夜譚』巻之五187
第6章 日本に必要なのは会社だ-実業界篇222
  銀行の設立222
  株式取引所(現・東京証券取引所)の設立230
  海上保険の設立233
  製紙業の設立238
  人造肥料業の設立241
  水道鉄管事件244
  もう一方の雄・岩崎家との関係249
  大日本製糖(現・大日本明治製糖)問題255
  実業界からの引退261
第7章 道徳と経済は一つ-社会事業篇264
  『徳川慶喜公伝』の編纂264
  貧困者を救済する-社会的な事業への関わり1269
  労資が協調するために-社会的な事業への関わり2277
  商業に大切な道徳を説く-社会的な事業への関わり3280
  民間外交の展開284
  栄一の逝去290

外部機関の所蔵データほか

NDL-OPAC / CiNii Books / Worldcat 1,2 / NDL Search / Webcat Plus / Googleブックス 1,2

参考リンク