書誌事項
帰一協会の挑戦と渋沢栄一 : グローバル時代の「普遍」をめざして / 見城悌治編著
京都 : ミネルヴァ書房, 2018.02
xi, 256, 6p ; 22cm (渋沢栄一と「フィランソロピー」. 2)
注記: シリーズ責任編集: 見城悌治, 飯森明子, 井上潤 ; ISBN: 9784623082858
解題
渋沢栄一の多方面にわたる「フィランソロピー」活動を分析し、その思想を重層的に考察するシリーズ「渋沢栄一と「フィランソロピー」」の第2作。今回は渋沢栄一を始めとする経済人、知識人によって結成された帰一協会について取り上げられている。帰一協会は1910〜20年代において国内外の諸問題を宗教・道徳の観点から議論し、その成果を社会に発信しようとした団体である。国内の諸問題に、宗教や道徳がどのような役割を果たせるのか、諸外国とどのような連携ができるのか強い関心を持っていた渋沢栄一は、帰一協会の活動に中心メンバーの一人として関わった。本書では、これまであまり光の当てられてこなかった帰一協会の挑戦を通じて、渋沢栄一ら会員となった人びとの思想観や国際意識の多面性が考察されている。
書影
目次
項目 | ページ |
---|---|
シリーズ出版『渋沢栄一と「フィランソロピー」』(全八巻) 刊行にあたって | i |
はしがき | iii |
目次 | [v] |
凡例 | xi |
序章 帰一協会とは何か / 見城悌治 | 1 |
一 帰一協会研究の現状 | 1 |
二 帰一協会の活動とその特色 | 2 |
三 本書の構成 | 5 |
第I部 近代日本における「宗教」/「道徳」と帰一協会 | [11] |
第一章 宗教は一に帰すか : 帰一協会の挑戦とその意義 / 桐原健真 | 13 |
一 真理はひとつなのか | 13 |
二 帰一協会の出発点 | 17 |
三 同床異夢の「帰一」 | 20 |
四 帰一協会の遺したもの | 26 |
五 宗教間協業の可能性 | 29 |
第二章 宗教統一論と国民道徳 : 三教会同から帰一協会へ / 沖田行司 | 34 |
一 近代化と徳育問題 | 34 |
二 三教会同とその影響 | 38 |
三 『六合雑誌』と帰一協会 | 45 |
第三章 浮田和民の帰一理想 : 帰一協会との関わりについて / 姜克実 | 54 |
一 帰一の理想 | 54 |
二 浮田の倫理的帝国主義 | 59 |
三 浮田の宗教帰一論 | 61 |
四 浮田の文明融合論 | 66 |
五 帰一理想の特徴および帰一運動の接点 | 70 |
第四章 漢学から見た帰一協会 : 服部宇之吉の「儒教倫理」と日露戦後の国民道徳涵養 / 町泉寿郎 | 76 |
一 内務省の国民道徳涵養に関する動向 | 76 |
二 文部省の国民道徳涵養に関する動向 | 79 |
三 服部宇之吉の事績と学績 | 83 |
四 服部宇之吉の「儒教倫理」 | 86 |
五 渋沢栄一と服部宇之吉の漢学振興 | 90 |
六 渋沢栄一と服部宇之吉の儒教観 | 93 |
第五章 「精神界」の統一をめざして : 渋沢栄一の挑戦 / 見城悌治 | 98 |
一 実業界引退後の渋沢栄一の課題 | 98 |
二 渋沢栄一の「統一的宗教」にかかる見解 | 99 |
三 第一次世界大戦期前後における渋沢栄一の「精神界」への働きかけ | 103 |
四 帰一協会と渋沢栄一の挑戦 | 108 |
コラム1 シドニー・L・ギューリック / 是沢博昭 | 116 |
コラム2 森村市左衛門 / 木村昌人 | 120 |
第II部 グローバル化のなかの帰一協会 | [125] |
第六章 沢柳政太郎のアジア主義 : 帰一協会講演録を中心に / 酒井一臣 | 127 |
一 沢柳政太郎と帰一協会 | 127 |
二 沢柳政太郎のアジア主義論 | 129 |
三 沢柳政太郎の国際認識 | 135 |
四 アジア主義・国際主義・国家主義 | 138 |
第七章 成瀬仁蔵の帰一思想 : その形成過程および米国への発信 / 辻直人 | 143 |
一 成瀬仁蔵と帰一協会に関する新しい視座 | 143 |
二 成瀬の帰一思想形成に関する従来の見解 | 144 |
三 バートンとの出会いの意味 | 150 |
四 米国帰一協会の結成とバートンの役割 | 156 |
五 成瀬にとっての帰一協会 | 161 |
第八章 初期帰一協会の国際交流活動と宗教的自由主義 : 成瀬仁蔵・姉崎正治の活動と米国ユニテリアンを中心に / 岡本佳子 | 164 |
一 帰一協会設立時における国際的活動の位置づけ | 164 |
二 「『帰一宗を作るや否や』といふ問題」 | 167 |
三 成瀬仁蔵が発信した「帰一運動」 | 169 |
四 姉崎正治のボストン講演 | 171 |
五 ユニテリアンの国際的自由主義運動と帰一協会 | 174 |
六 初期帰一協会の国際的活動の意義と問題 | 180 |
第九章 「一等国」をめざす有識者グループの努力と限界 : デューイから見た大正日本と帰一協会の人々 / 陶徳民 | 186 |
一 鶴見和子のデューイ観 | 186 |
二 デューイと帰一協会の人々およびその日本・中国訪問 | 187 |
三 精神文明の向上を図る努力と挫折 | 190 |
四 日米親善と「日支提携」について | 197 |
五 デューイの自由平等観と文明間対話への展望 | 201 |
第一〇章 「帰一」というグローバル化と「信仰問題」 : 姉崎正治を中心に / 山口輝臣 | 206 |
一 グローバル化の異名としての「帰一」 | 206 |
二 「信仰問題」における「帰一」 | 213 |
三 「帰一」の先に | 221 |
コラム3 帰一協会に賛同した欧米の人士たち / 岡本佳子 | 229 |
コラム4 帰一協会例会で講演した人士たち / 見城悌治 | 233 |
付録 帰一協会関係資料 | [239] |
一 趣旨、決議、宣言など | 241 |
二 帰一協会例会での講演者一覧 | 246 |
人名索引 | 1 |
事項索引 | 4 |
執筆者紹介 | 巻末 |
責任編集者紹介 | 巻末 |
関連エントリー
- [栄一情報] 学術シンポジウム「第一次世界大戦期における平和の追求とその現実 : 「帰一協会」の挑戦と渋沢栄一」開催のお知らせ
http://d.hatena.ne.jp/tobira/20180117/1516157110
参考リンク
- 帰一協会の挑戦と渋沢栄一
〔ミネルヴァ書房〕
http://www.minervashobo.co.jp/book/b333378.html - シリーズ出版企画『渋沢栄一と「フィランソロピー」』|研究センターだより
〔研究センター|公益財団法人 渋沢栄一記念財団〕
https://www.shibusawa.or.jp/research/newsletter/post_6.html
「渋沢栄一と「フィランソロピー」」シリーズ一覧
- 渋沢栄一は漢学とどう関わったか / 町泉寿郎編著 [既刊]
- 帰一協会の挑戦と渋沢栄一 / 見城悌治編著 [既刊]
- 渋沢栄一が目指した地方振興 / 松本和明編著
- 日米欧の福祉社会づくりと渋沢栄一 / 兼田麗子編著
- 国際交流に託した渋沢栄一の望み / 飯森明子編著
- 社会を支える「民」の育成と渋沢栄一 / 見城悌治編著
- 渋沢栄一はなぜ「宗教」を支援したのか / 山口輝臣編著
- 渋沢栄一による文化の継承と創造 / 井上潤編著
(本書巻末より転載)
更新履歴
2020.05.12:カテゴリー変更、書影追加