書誌事項
論語と算盤 / 渋沢栄一述 ; 梶山彬編
東京 : 忠誠堂, 1927.02
3, 10, 403p, 16cm
解題
梶山彬が編纂した渋沢栄一の訓話集。1922(大正11)年に解散した株式会社東亜堂から紙型の一部を引き継いだと伝わる忠誠堂によって1927(昭和2)年に再刊されたもの。初出である東亜堂書房版と判型はほぼ同じだが版を新しく組み直している。背文字や、表紙に押された山岳の図様は東亜堂書房版の装丁に寄せている。2024年9月現在、判明している表装のクロスは1種。
10篇90章からなる本文は東亜堂書房版を踏襲するが、巻頭の「格言七則」は割愛され、1920(大正9)年の陞爵によって上がった渋沢の爵位を男爵から子爵に改めたほか、テキストには若干の異同がある。1928(昭和3)年、判型をひとまわり大きくした改版が刊行された。
戦後復刊された『論語と算盤』は、この忠誠堂版を下敷きにしたものが多く、本書を『論語と算盤』初出とする誤認も一部存在する。
版(刷)
版(刷) | 発行年月日 | 発行者 | 発行兼印刷者 | 印刷所 | 価格 |
---|---|---|---|---|---|
[初版] | 1927.02.05 | 忠誠堂 | 高倉嘉夫 | 忠誠堂印刷所 | 1円50銭 |
書影
目次
項目 | ページ |
---|---|
凡例 / 編者[梶山彬] | 1 |
格言五則 | [4] |
目次 | 1 |
処世と信条 | 1 |
論語と算盤は甚だ遠くして甚だ近いもの [目次: 論語と算盤とは甚だ遠くして甚だ近いもの] | 1 |
士魂商才 | 3 |
天は人を罰せず | 10 |
人物の観察法 | 13 |
論語は万人共通の実用的教訓 | 17 |
時期を待つの要あり | 22 |
人は平等なるべし | 26 |
争ひの可否 | 29 |
大丈夫の試金石 | 34 |
蟹穴主義が肝要 | 38 |
得意時代と失意時代 | 42 |
[格言] | 48 |
立志と学問 | 49 |
精神老衰の予防法 | 49 |
現在に働け | 57 |
大正維新の覚悟 | 61 |
秀吉の長所と短所 | 64 |
自ら箸を取れ | 68 |
大立志と小立志との調和 | 73 |
君子の争ひたれ | 78 |
社会と学問との関係 | 84 |
勇猛心の養成法 | 87 |
一生涯に歩むべき道 | 90 |
[格言] | 94 |
常識と習慣 | 95 |
常識とは如何なるものか | 95 |
口は禍福の門なり | 101 |
悪んで其の美を知れ | 104 |
習慣の感染性と伝播力 | 109 |
偉き人と完き人 | 114 |
親切らしき不親切 | 116 |
何をか真才真智と謂ふ | 121 |
動機と結果 | 126 |
人生は努力にあり | 130 |
正に就き邪に遠ざかるの道 | 133 |
[格言] | 137 |
仁義と富貴 | 138 |
真正の利殖法 | 138 |
効力の有無は其人に在り | 143 |
孔夫子の貨殖富貴観 | 147 |
防貧の第一要義 | 151 |
罪は金銭にあらず | 155 |
金力悪用の実例 | 162 |
義理合一[義利合一]の信念を確立せよ | 166 |
富豪と徳義上の義務 | 171 |
能く集め能く散ぜよ | 177 |
理想と迷信 | 181 |
道理ある希望を持て | 181 |
この熱誠を要す | 184 |
道徳は進化すべきか | 187 |
斯の如き矛盾を根絶すべし | 190 |
人生観の両面 | 194 |
これは果して絶望か | 198 |
日新なるを要す | 203 |
修験者の失敗 | 206 |
真正なる文明 | 212 |
発展の一大要素 | 217 |
廓清の急務なる所以 | 220 |
[格言] | 224 |
人格と修養 | 225 |
楽翁公の幼時 | 225 |
人格の標準は如何 | 231 |
誤解され易き元気 | 237 |
二宮尊徳と西郷隆盛 | 240 |
修養は理論ではない | 245 |
平生の心掛が大切 | 250 |
須らく其の原因を究むべし | 256 |
東照公の修養 | 262 |
誤解されたる修養説を駁す | 266 |
権威ある人格養成法 | 269 |
商業に国境なし | 273 |
[格言] | 277 |
算盤と権利 | 278 |
仁に当つては師に譲らず | 278 |
金門公園の掛札 | 284 |
唯王道あるのみ | 288 |
競争の善意と悪意 | 292 |
合理的の経営 [目次: 合理的経営] | 298 |
[格言] | 303 |
実業と士道 | 304 |
武士道は即ち実業道なり | 304 |
文明人の貪戻 | 308 |
相愛忠恕の道を以て交はるべし | 313 |
天然の抵抗を征服せよ | 317 |
摸倣時代に別れよ | 321 |
此にも能率増進法あり | 325 |
果して誰の責任ぞ | 331 |
功利学の弊を芟除すべし | 334 |
此の如き誤解あり | 340 |
教育と情誼 | 344 |
孝は強ふべきものに非ず [目次: 孝は強ふべきものにあらず] | 344 |
現代教育の得失 | 348 |
偉人と其の母 | 354 |
其罪果して孰れに在りや [目次: 其の罪果して孰れに在りや] | 358 |
理論より実際 | 362 |
孝らしからぬ孝 | 366 |
人物過剰の一大原因 | 372 |
[格言] | 376 |
成敗と運命 | 377 |
それ唯忠恕のみ | 377 |
失敗らしき成功 | 381 |
人事を尽して天命を待て | 386 |
湖畔の感慨 | 389 |
順逆の二境は何れより来るか | 391 |
細心にして大胆なれ | 396 |
成敗は身に残る糟粕 | 399 |
格言五則 | [404] |
奥付 | [405] |
広告 | [407] |
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「情報資源センターだより」から『論語と算盤』解説集
- 『論語と算盤』の出版者「東亜堂書房」について(『青淵』No.893 2023年8月号掲載)
https://www.shibusawa.or.jp/center/newsletter/893.html - 『論語と算盤』を再刊した出版社「忠誠堂」について(『青淵』No.905 2024年8月号掲載)
https://www.shibusawa.or.jp/center/newsletter/905.html
参考リンク
- 論語と算盤オンライン [東亜堂書房版『論語と算盤』再版]
〔公益財団法人 渋沢栄一記念財団〕
https://eiichi.shibusawa.or.jp/features/rongotosoroban/ - 論語と算盤 [忠誠堂1927年版]
〔国立国会図書館デジタルコレクション〕
https://dl.ndl.go.jp/pid/1195171 - デジタル版『渋沢栄一伝記資料』 - 第41巻|栄一ノ演説・談話ヲ編集刊行セルモノ | 論語と算盤
〔公益財団法人 渋沢栄一記念財団〕
https://eiichi.shibusawa.or.jp/denkishiryo/digital/main/index.php?DK410086k_text