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『渋沢栄一がめざした「地域」の持続的成長 : 人的ネットワークの確立と連携の推進』 【ミネルヴァ書房,2023.07】

書誌事項

渋沢栄一がめざした「地域」の持続的成長 : 人的ネットワークの確立と連携の推進 / 松本和明編著
 京都 : ミネルヴァ書房, 2023.07
 xiii, 213, 6p ; 22cm (渋沢栄一と「フィランソロピー」. 3)
 注記: シリーズ責任編集: 見城悌治, 飯森明子, 井上潤 ; ISBN: 9784623095117

解題

 渋沢栄一の多方面にわたる「フィランソロピー」活動を分析し、その思想を重層的に考察するシリーズ「渋沢栄一と「フィランソロピー」」の6作目。今回の第3巻では、渋沢が直接・間接を含め関わった、明治以降の日本全国各地の経済・産業振興に着目する。その担い手である民間人達との人的ネットワークの構築と、地域間連携と持続的成長に渋沢が果たした役割を講究。

書影

渋沢栄一がめざした「地域」の持続的成長

目次

項目ページ
シリーズ出版『渋沢栄一と「フィランソロピー」』(全八巻)刊行にあたってi
はしがきiii
目次[vii]
凡例xiii
序章 日本の近代化の要諦としての地域振興 / 松本和明1
     一  本書の視点1
     二  先行研究のレビュー4
     三  本書の構成7
第I部 直接的に指導・支援した地域と企業家の諸活動[13]
  第一章 渋沢栄一と新潟県長岡地域の発展 / 松本和明15
     一  二人のキーパーソン・岸宇吉と福島甲子三15
     二  岸宇吉による第六十九国立銀行設立と石油・鉄道業への関与17
     三  福島甲子三による宝田石油の経営再建と地域・社会貢献活動への尽力28
     四  「フィランソロピー」が支えた長岡地域の近代化33
  第二章 渋沢栄一の道徳観と埼玉における人格教育活動 : 埼玉学友会・埼玉学生誘掖会・埼玉県人会の検討を中心に / 恩田睦37
     一  埼玉と渋沢のかかわり37
     二  埼玉学友会と滝沢吉三郎39
     三  埼玉学生誘掖会の設立41
     四  渋沢の道徳観と啓蒙43
     五  埼玉県人会の設立と埼玉学友会の役割の変容49
     六  埼玉県人会を中心とした育英活動51
     七  渋沢の道徳観の継承54
  第三章 中京財界と渋沢栄一 / 杉山里枝58
     一  渋沢と中京圏とのかかわり58
     二  中京圏の近代企業を牽引した企業家 : 奥田正香と伊藤伝七58
     三  中京圏における産業発展に渋沢が果たした役割61
     四  地域における教育事業への渋沢の貢献71
     五  地域振興に重要な役割を果たした渋沢74
コラム1 北海道の近代化に向けた渋沢栄一の思い / 松本和明80
第II部 間接的に関与した地域と企業家の諸活動[85]
  第四章 第五十九国立銀行の創業指導と三本木渋沢農場の直轄経営 / 四宮俊之87
     一  一九一七年の東北視察87
     二  第五十九国立銀行の創業指導と疎遠化90
     三  三本木渋沢農場での自作直轄経営の挫折97
     四  「東北の地域振興」への考え104
  第五章 静岡県と山梨県における金融・鉄道事業と地域振興 : 地域利害の相克と調整 / 三科仁伸108
     一  渋沢と地域の産業化をみる視点108
     二  第十国立銀行 : 栗原信近の金融構想110
     三  掛川鉄道 : 遠参鉄道との競合113
     四  駿甲鉄道および富士身延鉄道 : 地域利害の調整者としての渋沢115
     五  静岡県および山梨県にみられる渋沢の役割122
  第六章 明治期の九州企業に対する「東京相談役」渋沢栄一の貢献 : 筑豊興業鉄道会社と若松築港会社を中心に / 小野浩126
     一  「東の渋沢」と九州企業126
     二  渋沢関係企業の地域分布とその特徴127
     三  相談役としての関与 : 筑豊興業鉄道会社と若松築港会社133
コラム2 地域振興に寄与するはずだった試み : 蚕と藍と渋沢栄一 / 若狭正俊144
第III部 地域発展に寄与したインフラストラクチャーの整備[151]
  第七章 「流通の枢軸、富殖の根底」としての地方銀行 / 松本和明153
     一  渋沢と地方銀行との広域性に富むかかわり153
     二  直接的な経営指導と人材派遣 : 第七十七国立銀行154
     三  人材派遣と継続的な経営支援160
     四  人的ネットワークの利活用および構築・深化165
     五  各行の自主性を重んじた渋沢の姿勢172
  第八章 汽車製造会社と渋沢栄一 / 老川慶喜176
     一  大阪での企業活動176
     二  汽車製造会社の設立179
     三  汽車製造会社の経営184
     四  渋沢と大阪の経済界192
  第九章 日本における技術移転の新たなパラダイムと地域振興 / デイビッド・G・ウィットナー(David G. Wittner)(翻訳:松本和明)196
     一  技術移転の背景196
     二  製糸業から始まる技術移転と富岡・水沼地域198
     三  綿糸紡績業の勃興と技術移転201
     四  製紙業の勃興と技術移転203
     五  ノウハウを持つ人材の確保 : 大阪紡績の創設と山辺丈夫205
     六  大阪紡績・三重紡績の規模の拡大と大阪・四日市地域207
     七  技術移転の枠組みづくり208
 人名索引1
 事項索引4
 執筆者紹介巻末
 責任編集者紹介巻末

参考リンク

「渋沢栄一と「フィランソロピー」」シリーズ一覧