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『論語と算盤』【浅野重次郎,1954.10】

書誌事項

論語と算盤 / 渋沢栄一述 ; 梶山彬編
 [東京] : 浅野重次郎, 1954.10
 2, 8, 282p, 図版2枚, 16cm

解題

 梶山彬が編纂した渋沢栄一の10篇90章からなる訓話集。株式会社白石甚兵衛商店の専務取締役浅野重次郎(1878-没年不詳)が、忠誠堂版を基に復刊。無料配布したとされる。浅野は戦後の文化の再建や経済の復興の前提条件としての道義の確立を思い、自身が感銘を受けた渋沢の『論語と算盤』が絶版となり入手し難い状況下「今日の時勢に最も適切な先人の遺訓であると信ずるので、復刊して諸賢の座辺に薦めたいと思立った」と復刊の動機を跋文に記す。
 復刊にあたっては、忠誠堂版にあったルビは削除、若干言葉の訂正がなされている。また巻頭口絵には忠誠堂1928年版とは異なる、肖像写真「昭和四年六月二十五日 渋沢栄一」と渋沢の墨書「書 進学解 韓文公」の2枚を収載。
 1955年の再刊本では跋文の後ろに、追記、および渋沢栄一伝記資料刊行会の高木一夫による浅野と本書復刊経緯を紹介した一文(渋沢青淵記念財団竜門社の機関誌『青淵』第67号(昭和29年10月号)掲載記事を一部改稿の上再録)を追加、「義理合一」を「義利合一」とするなど重ねて言葉の訂正も行われている。

版(刊)

版(刊)発行年月日発行者印刷所
[初版] 1954.10.01浅野重次郎青樹印刷株式会社
再刊 1955.06.10浅野重次郎青樹印刷株式会社

書影

論語と算盤_榛名書房

※1955年再刊(左)と1954年初版(右)

目次

項目ページ
格言五則巻頭
[口絵]巻頭
凡例 / 編者[梶山彬]1
目次1
処世と信条1
 論語と算盤は甚だ遠くして甚だ近いもの [目次: 論語と算盤とは甚だ遠くして甚だ近いもの]1
 士魂商才3
 天は人を罰せず7
 人物の観察法9
 論語は万人共通の実用的教訓12
 時期を待つの要あり15
 人は平等なるべし18
 争ひの可否21
 大丈夫の試金石24
 蟹穴主義が肝要27
 得意時代と失意時代29
 [格言]34
立志と学問35
 精神老衰の予防法35
 現在に働け40
 大正維新の覚悟43
 秀吉の長所と短所46
 自ら箸を取れ48
 大立志と小立志との調和51
 君子の争ひたれ55
 社会と学問との関係59
 勇猛心の養成法62
 一生涯に歩むべき道64
 [格言]66
常識と習慣67
 常識とは如何なるものか67
 口は禍福の門なり 71
 悪んで其の美を知れ73
 習慣の感染性と伝播力77
 偉き人と完き人80
 親切らしき不親切82
 何をか真才真智と謂ふ85
 動機と結果89
 人生は努力にあり91
 正に就き邪に遠ざかるの道93
 [格言]96
仁義と富貴97
 真正の利殖法97
 効力の有無は其人に在り100
 孔夫子の貨殖富貴観103
 防貧の第一要義106
 罪は金銭にあらず109
 金力悪用の実例114
 義理合一[義利合一]の信念を確立せよ117
 富豪と徳義上の義務120
 能く集め能く散ぜよ124
理想と迷信127
 道理ある希望を持て127
 この熱誠を要す129
 道徳は進化すべきか131
 斯の如き矛盾を根絶すべし133
 人生観の両面136
 これは果して絶望か139
 日新なるを要す142
 修験者の失敗145
 真正なる文明148
 発展の一大要素152
 廓清の急務なる所以154
 [格言]157
人格と修養158
 楽翁公の幼時158
 人格の標準は如何163
 誤解され易き元気166
 二宮尊徳と西郷隆盛169
 修養は理論ではない172
 平生の心掛が大切176
 須らく其の原因を究むべし179
 東照公の修養184
 誤解されたる修養説を駁す186
 権威ある人格養成法189
 商業に国境なし192
 [格言]194
算盤と権利195
 仁に当つては師に譲らず195
 金門公園の掛札199
 唯王道あるのみ202
 競争の善意と悪意205
 合理的の経営 [目次: 合理的経営]209
 [格言]212
実業と士道213
 武士道は即ち実業道なり213
 文明人の貪戻216
 相愛忠恕の道を以て交はるべし219
 天然の抵抗を征服せよ222
 摸倣時代に別れよ225
 此にも能率増進法あり228
 果して誰の責任ぞ232
 功利学の弊を芟除すべし234
 此の如き誤解あり238
教育と情誼241
 孝は強ふべきものに非ず [目次: 孝は強ふべきものにあらず]241
 現代教育の得失244
 偉人と其の母248
 其罪果して孰れに在りや251
 理論より実際254
 孝らしからぬ孝256
 人物過剰の一大原因260
 [格言]263
成敗と運命264
 それ唯忠恕のみ264
 失敗らしき成功267
 人事を尽して天命を待て270
 湖畔の感慨272
 順逆の二境は何れより来るか273
 細心にして大胆なれ277
 成敗は身に残る糟粕279
格言五則282
跋 / 浅野重次郎[283]
奥付[285]
 以下、再刊(跋文以降)の情報。
項目ページ
跋 / 浅野重次郎[283]
追記[285]
「論語と算盤」の再刊 / 高木一夫[286]
奥付[285]

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参考リンク